首位打者1回、本塁打王9回、打点王4回、最高出塁率6回、最多安打2回、最多勝利2回、最優秀防御率1回、最優秀救援2回、ベストナイン20回、ゴールデン・グラブ5回、そしてMVP4回──。
ヤクルトの歴代外国人選手は、今までこれだけ多くのタイトルやアワードに輝いてきた。「ヤクルトの外国人には“当たり”が多い」と言われる由縁である。それではなぜ当たりが多いのか? 「スカウティングじゃないかな。マイクが獲るべき選手を獲ってきているんだ」
守護神として2021、22年のセ・リーグ連覇に大きく貢献した
スコット・マクガフは、そう話したことがある。
彼の言う「マイク」とは、03年のヤクルト入りから長きにわたって外国人選手獲得に携わってきた現球団編成部参事、国際グループ担当部長の奥村政之氏のこと。アメリカ球界にも独自のパイプを持つ奥村氏が目をつけるのは、バリバリのメジャー・リーガーよりもマイナー3Aの選手。現地視察の際はプレーのみならず、表情や仕草といった細かな部分のチェックも怠らない。
そうして日本に連れてきたのが、13年に年間60本塁打の日本新記録を樹立した
ウラディミール・バレンティン、15年の優勝時に絶対的な抑えとして君臨した
トニー・バーネットといった選手たちだ。現在はそのバーネットと、同じくヤクルトの元助っ人の
アーロン・ガイエルが球団とアドバイザー契約を結び、駐米スカウトとして奥村氏を補佐している。
「マイクも含めその3人は、単に実力があるだけでなく、日本にフィットする選手を選んでいるんだろう」と言うマクガフは、「(選手が)日本に来たらチームも温かく迎えてくれる。何かを変えるように言われることもないし、リ
ラックスしてシーズンに入ることができるんだ」と、チームの“土壌”にも言及している。
もっとも奥村氏の前任者の中島国章氏(元国際部部長、故人)によると、ヤクルトも大昔から外国人選手を上手に受け入れる体質があったわけではなかったという。中島氏は1973年に通訳としてヤクルトに入団し、87年からは国際担当スカウトとしてほぼ1人で助っ人獲得に奔走。独自の基準で獲るべき選手を選び、今に続くヤクルトの「優良外国人の系譜」を生み出した人物である。
まだ通訳の時代、外国人選手に対するナインのどこかよそよそしい態度を案じ、積極的にコミュニケーションを図るよう頼み込んだのが、ほかならぬ中島氏だったという。
その中島氏から奥村氏に代替わりし、時代が移り変わっても、性格面を含めて日本の野球にフィットする選手を見極め、彼らが異国の地でも力を発揮できるようチームとして迎え入れる良き伝統は、今もなお息づいている。21世紀に入っても、4度の優勝の際に助っ人たちが「優勝請負人」たる働きを見せてきたのが、何よりの証しだ。
今年からヤクルトの一員となった
ホセ・キハダ、
ヘスス・リランソらにも、ぜひ新たな優勝請負人となってほしい──。
巨人、
阪神と熾烈な首位争いを演じている今、“燕党”なら誰もがそう願っているはずだ。
文=菊田康彦(スポーツライター)