夏の甲子園出場をかけた地方大会は、高校球児にとって集大成の場である。高卒でのプロ入りを目指す高校生は、人生を左右する最終アピールの舞台だ。各球団のスカウトは全国各地にいる対象選手の大会日程を隅々までチェックし、スケジュールを組んでいく。ラストチャンスで自身初の聖地を目指す有力プレーヤーを掲載する。 取材・文=佐々木亨 
桐陽高は1992年夏、春夏を通じて甲子園に初出場して以来、全国舞台から遠ざかる。センスのある鈴木が攻撃の起点になる[写真=福地和男]
インパクト残した2年春
4人兄弟の末っ子である鈴木の名は「陸翔温」と書いて「りとあ」と読む。ちなみに、昨年まで桐陽高でともにプレーした1つ年上の兄は「琉樹空」と書いて「るきあ」。名前の由来を鈴木に尋ねると「親が『珍しい名前がいい』ということで……」と明確な答えは返ってこないのだが、「これまで一緒の名前の人と出会ったことがない。自分だけの名前という感じで気に入っています」と笑みを浮かべる。
名前のごとく、その打撃で強烈なインパクトを残したのは昨春のことだった。2年春の静岡県大会で18打数12安打と驚異の打率と出塁率を誇った。県大会準優勝で挑んだ東海大会でも、豊川高(愛知)の好投手を相手に5打数4安打。チームは初戦敗退となるのだが、「りとあ」の名が、東海地区だけではなく、全国へ広まるきっかけとなった。複数のNPBスカウトが視察に訪れ、注目を浴びる存在となった。
「打撃の一連の動作が決まっていて、大会を通して安定していた。自分の中で、2年春は自信になりました」
桐陽高に着任して今年で12年目を迎えた野球部の山本智也部長は・・・
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