2018年の入団以来、その素材は誰もが認めるところだったが、度重なるケガに悩まされ続けてきた。1年間、先発ローテを守ったら――。そんな声も聞かれた。入団9年目。ついに、本領発揮である。開幕から圧倒的な投球で席巻し続けている。周囲の喧騒(けんそう)をよそに、自然体を貫く。 取材・構成=椎屋博幸 写真=桜井ひとし、井田新輔、榎本郁也、佐藤真一、宮原和也、牛島寿人、BBM 
プロ入り9年目で初の開幕ローテ入りを果たすと、4完封を含む開幕10連勝で快進撃を続けている
自分のためがチームのため
プロ入り以来、初めて開幕先発ローテに入った。敵地・東京ドームでの巨人との第2戦で、21年10月以来、1638日ぶりの完封。開幕から5試合の登板で4完封を果たすと、7月7日の巨人戦(東京ドーム)で今季初黒星を喫するまで開幕10連勝。1947年の御園生崇男以来、球団として79年ぶりの快挙だった。 ──7月初旬ですでに10勝(1敗)を挙げ、プロ9年目で初の2ケタ勝利に到達した実感はありますか。
高橋 いや、ないです。開幕してからあっという間に90イニングを超えたなと。そういう感覚でしかないですし、10勝は皆さんのおかげです。
──高橋投手はイニング数を重視されているのですね。
高橋 入団後の2019年の109.2イニングが最多でした。1年目が34.2イニングで2年目109.2イニング、3年目が76イニング、4年目は49イニングですかね。どんどん少なくなって、どうなるんだろうと思っていたら、5年目は投げることができなかった(トミー・ジョン手術など)。周りの先発投手がイニング数を意識している姿を見てきていたこともあり、僕も1イニングでも積み重ねていくことを意識しています。
──今季、開幕から先発ローテに入ることが決まったときには、自身でイニング数の設定をしていたのでしょうか。
高橋 チームのために何イニング投げるか……というよりも結局、自分のためにやっていることが、チームのためになると思っています。だから、あらかじめ何イニングとは決めずに、とにかく長い回を投げたいと思っています。
──長いイニングを投げるための体をつくり、今季に臨んできたのでしょうか。
高橋 昨年復帰して、1試合平均のイニング数が落ちてきていました。試合中盤にボールの勢いが落ちてきている感じだったんです。今年はそこがどのくらい変わってくるのかなという、期待よりも不安のほうが大きかった。だから現在のイニング数(97.1)に到達していることに関しても実感がまったくないんです。
──9回を投げ切るというイメージではなく、少しずつイニングを増やしていく感覚でスタートしたということですね。
高橋 今年に関しては開幕前、真っすぐの質が落ちてきたら、どう修正していこうかと考えていました。フタを開けてみるとボールの質が最後まで落ちていかない。今のところどう立て直すか、というところに行っていないですし、初回からの状態のままの流れで投げられています。
──軸であるストレートの球質を含め、好調を維持できている要因はありますか。
高橋 僕の中では、長いイニングを投げられるかどうかは、(手術した)左手首の状態次第だと思っているんです。去年からずっと・・・
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