勝敗を左右するのは選手の力だけではない。スタンドから響く声援もまた、試合の流れを変えるパワーになると信じる人たちがいる。埼玉西武ライオンズ応援団「若獅子会」の阿部亜矢さんも、その一人だ。「どんなときも全力で応援する」を信条に、全国の球場でトランペットを吹き続ける。その胸にあるのは、常に選手の背中を押したいという揺るぎない思いだった。 取材・文=小林光男 写真=川口洋邦、BBM 取材協力=COMMA,COFFEE 
愛するライオンズの背中を押すために全国各地で声援を送る[写真は5月20日、県営大宮]
ミラクルは起きる
「私は負けると思って球場へ行く試合は一つもありません」
その言葉に迷いはない。
劣勢でも、9回二死のビハインドでも、最後まで仲間と声を張り、トランペットを響かせる。埼玉西武ライオンズ応援団「若獅子会」の阿部亜矢さんは、「どんなときも全力で応援する」という信念を胸に、全国の球場を駆け巡っている。
応援団にとって最も難しいのは、チームが負けている試合だという。先制を許し、追加点を奪われる。点差が開くにつれ、球場全体を包む空気は少しずつ重くなっていく。「今日も負けるのではないか」。そんなあきらめにも似た感情がスタンドに漂い始める。
昨季のように苦しい戦いが続けばなおさらだ。連敗が重なれば球場へ足を運ぶファンも減り、応援団員も仕事や家庭の事情で全員が集まれるわけではない。それでも彼女は、自らの声だけは決して小さくしない。
「ぬるい応援だけは絶対にしたくありません」
応援団として最も大切なのは、どんな状況でも熱量を落とさないことだと考えている。
「いつも一生懸命に応援していますが、勝つときはチームの力と応援が相乗効果を生み出す。劣勢でスタンドの心がくじけそうなときこそ応援団が率先して声を出さなければいけない。選手だって打ちたいのに打てない。抑えたいのに抑えられない。一番苦しいのは選手なんです」
だからこそ・・・
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