2023年夏。第105回記念大会決勝には、4万2100人の大観衆が甲子園に詰めかけた。5年ぶり19回目出場の慶応(神奈川)が、仙台育英(宮城)が目指した史上7校目の「夏連覇」を阻止。107年ぶり2度目の全国制覇を遂げた。「陸の王者KEIO」の一番打者はプレーとともに、聖地に強烈なインパクトを残した。 取材・文=加藤弘士(スポーツ報知) 写真=宮原和也 
史上7校目の夏連覇を狙う仙台育英との決勝。1回表、一番・丸田は夏の甲子園史上初の決勝先頭打者アーチを右翼席へと放った。この一発で主導権を握った慶応は、1916年以来の全国制覇を達成した
甲子園のヒーローから神宮のヒーローへ躍進
あの夏の喧騒(けんそう)から3年がたつ。第105回大会の2023年夏の甲子園、慶応は、107年ぶり2度目の日本一に輝いた。“野球の神様”に選ばれ、聖地の主役に躍り出たのは斬り込み隊長・丸田湊斗だった。慶大入学後、ステップアップを遂げ、リードオフマンへと進化。3年生となった今春は持ち味の脚力を生かした「神足」で神宮の杜を沸かせ、5季ぶり41度目の東京六大学制覇に貢献。全日本大学選手権でも準優勝と今春、自らのポジションを確立した。
横浜市内にある慶大グラウンドは8月、猛暑との戦いでもある。蝉(せみ)時雨が絶え間なく鳴り響く中、3年生・丸田は一心不乱にバットを振り込んだ。今春のリーグ戦では全13試合フルイニング出場。1、2年時はケガもあって、大学野球の壁に苦しんだが、不動の一番・中堅になった。この春を振り返り、こう言った。
「フルイニングで代わることなく、全試合に出られたのが一番、目に見える記録として成長したところかなと思います。フィジカル的な強化によって、長打も出るようになりました。年末年始のオフ期間、結構食べて体重を増やしたんです。73kgだったのが今は75〜76kg。土台をつくれたのも大きかったと思います」
3年間という歳月は若者を大人へ変える。あの夏は・・・
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