1951年、強豪私学がひしめく神奈川で最後に夏の甲子園出場を果たした県立校の希望ケ丘高。そんな伝統校で今年、高校生平均超えの回転数を誇る直球を武器とする大型左腕がプロから注目を浴びている。 取材・文=斎藤寿子 写真=矢野寿明 プロ“超え”の回転数
9月2日、神奈川県内では2人目という早さでプロ志望届を提出したのは、身長184cmの大型左腕・篠晴仁だ。
篠は温厚な性格で、普段は積極的に前に出るようなタイプではない。野球に対しても、3年間彼を指導してきた平井雅俊監督いわく「自己肯定感が決して高くはなかった」。2年生までは大学で野球を続けることにも「自分にできるのだろうか」と慎重だったという。そんな篠が自分自身でプロ志望届を提出することを決断するに至った背景には、2つの転機によってもたらされた自信があった。
1つは、2年春の県大会。希望ケ丘高は初戦(2回戦)で金沢高にサヨナラ勝ちを収めた。このときの勝利は篠にとっても“一番の思い出”となっている。しかし、自身の投球には決して納得はいっていなかった。当時の篠はインコースへの球に自信が持てず、金沢高戦もアウトコース主体の配球だった。「勝ったとはいえ、1点差。同じような投球をしていては次は勝てないだろう」。そう思った篠はコーチの指導の下、徹底してインコースの球を磨いた。もともとコントロールには自信があったが、インコースはどうしても死球への恐怖心が拭えずにいた。しかし、本格的に取り組んだ結果、徐々に恐怖心は手応えへと変わっていった。大きかったのは、軸足の左足で押す意識を持ったこと。下半身がしっかりと使えるようになり、威力ある球をコントロールよくインコースに投げることができるようになった。
こうして迎えた3回戦・・・
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