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2026ドラフト総決算号 運命の「10.22」に密着

【2026ドラフト総括】加速する“国際化の流れ 13年ぶり事前公表ゼロ 巨人・織田翔希強行指名、中学生指名も

 

1位入札の重複が減り、一本釣りが多かった一方で、驚きを生んだ指名も数多く見ることができた。運命の一日を振り返りながら、総括していく。
写真=高原由佳

今ドラフトはいつもとはまた違った流れと熱気が渦巻いた


静けさの中の衝撃


 開会前から、「異例のドラフト」であることは分かっていた。2013年以来、13年ぶりとなる1位指名選手の事前公表ゼロ。直近4年は公表によって熱意を伝えていた広島も、昨年は竹丸和幸の単独指名につなげた巨人も静観を決め込み、10月22日のドラフト会議当日を迎えることになった。もちろん、その理由の一つは横浜高の高校生No.1投手である織田翔希だろう。同15日に会見を開いてアメリカ挑戦を表明したことで、各球団はドラフト戦略の練り直しを迫られた。

 どの球団が誰を指名するか分からない緊張感は、ワクワク感と表裏一体。各球団が手の内を明かさない中、観衆はどこかそわそわした雰囲気でドラフト会議は幕を開け、青学大の強肩強打の捕手である渡部海に楽天と中日が立て続けに入札したことで、ボルテージは一気に高まるかに思われた。しかし――。

 巨人が織田を強行指名。会場の雰囲気は一変する。

 どよめきが残る中で、ロッテが入札していた青学大の鈴木泰成をソフトバンクも指名。渡部と同じく複数球団の重複必至と見られた山梨学院高の菰田陽生は、二刀流育成の実績十分な日本ハムの一本釣りとなり、第1回入札での重複は最大2球団で2選手にとどまった。

 渡部の抽選では楽天の石井一久GMが右手を突き上げると、「(会場から青学大まで)20分くらいで行けるので」とさっそく指名あいさつを宣言して場内を沸かせ、鈴木の抽選に登壇したソフトバンクの城島健司CBOは昨年の佐々木麟太郎の交渉権をつかんだときと同様、球団席を振り返りながら右手を挙げて喜びをあらわにする。「石井さんは20分で行くと言ったが、15分で行きます」と大学No.1右腕に呼び掛けて、さらに会場を盛り上げた。これで青学大は23年から4年連続でドラフト1位を2人輩出した。

 第1回入札で交渉権を得ることができなかった中日とロッテが、第2回入札でも近大の右腕、宮原廉で再び重複したものの、「巨人・織田」という特大の衝撃を除けば、各球団の思惑が交錯しながらも堅実で静かな1位指名だったと言える。終わってみれば巨人を含め、8球団が単独指名に成功した。

広がるスカウトの網


 ただ、2位指名以下でもサプライズは続いた。会場にどよめきが走ったのはDeNAの3位。隠し玉としてカナダの名門ブリティッシュコロンビア大の杉本寛斎を指名した。極めつきはソフトバンクだ。8位で台湾・国立台湾体育運動大の深見一騎、9位でアメリカ・ペンシルベニア州立大の佐藤幻瑛、さらに育成3位で韓国/KTの杉本幸基、育成10位でアメリカ・フレズノシティ大の根鈴風大を指名している。

 カナダ、アメリカ、台湾、韓国――こうした“逆輸入”の流れは加速していくはずだ。一方、日本球界からの才能流出の阻止に動いたのが、水野雄仁編成本部長が「日本のプロ野球ファンの方にお見せしたい」と語った巨人の織田であり、来夏にMLBドラフトを控えるソフトバンクの佐藤だろう。

“国際化”の急先鋒であるソフトバンクの永井智浩編成育成本部長兼スカウト部部長は海外選手の指名について「どこに所属しているかより選手の能力を一番に考えながら、そうした選手にトライしていく順番」と説明しながらも、佐藤の指名については「何が起こるか分からない。意志を尊重しつつ、NPBでやりたいと気持ちが変わったときに交渉権を持っておくというのは一つある」と率直に戦略を明かしている。

 いずれにしても国内外を問わず、スカウトの情報収集の網がかつてないほどに広がっていることは間違いない。象徴的だったのが「サプライズ・ドラフト」の口火を切った巨人の「中学生指名」だ。育成5位で指名したのは川崎市立向丘中の14歳、関蓮太郎だった。「ジャイアンツU15ジュニアユース」として創設された多摩川ボーイズの1期生。14歳9カ月での指名は史上最年少で、ドラフト史にその名を刻んだ。

大学生の存在感


 最終的に支配下76人、育成51人の計127人が指名された。支配下76人のうち高校生は昨年より1人少ない18人で、大学生も37人と3人減ったものの存在感は大きく、独立リーグを含めた社会人は21人と7人の増加。即戦力を求める傾向は強まっていると言える。

 ドライチだけを見ても9人を大学生が占めた。青学大は渡部と鈴木の2人が1位指名され、23年から4年連続で同一チームから複数の1位指名となった。DeNAの星野世那(大商大)、中日の宮原廉(近大)、ロッテの米沢友翔(関大)と関西の大学から1位指名3人は史上最多となっている。明大は阪神1位の榊原七斗を筆頭に4人が指名を受けて、連続指名を17年連続に伸ばした。球団で見るとソフトバンクが支配下9人、育成15人とドラフト史上最多の24人を指名。育成15人も史上最多だ。

 指名を受けた選手たちがどのように成長し、プロの世界で羽ばたいていくのか。織田はどんな決断を下すことになるのか。ドラフトが終わったここから、選手たちの本当の戦いが始まっていく。
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