失意のWBC準決勝敗退から2週間弱。 2013年のペナントレースが3月29日に開幕し、 “世界”から国内最高峰の戦いにファンの注目はシフトしている。 しかし、日本の敗因を明確にせぬまま時を過ごせば、4年後も同じ失敗の繰り返しとなることは明白。 これはそんな状況を危惧する侍戦士・井端弘和の、これからの侍ジャパンに向けた提言である。 取材・構成=坂本匠
写真=毛受亮介(WBC特派)、高原由佳、榎本郁也
選手寿命が延びた 代表候補合宿直前までは、本人さえも「どちらかと言えばコーチ寄り(笑)。選手と首脳陣の調整役でも、雑用でも、何でもやります」とその役回りを認識していた男が、侍ジャパンの中で、最も価値ある働きをするとは誰が予想していただろうか。緻密で、忍耐強く勝利をつかんできたこれまでの“日本の野球”を再現することがかなわなかった今大会で、ただ1人、各国が恐れ、リスペクトした日本野球を体現。2次ラウンド・台湾戦の値千金の同点打など、大会通算4打点のインパクトとその価値は決して小さなものではなく、大会ベストナイン(DH)に選出されたのも当然だった。 ――準決勝のプエルトリコ戦(3月17日、AT&Tパーク)に1対3で敗れて3連覇の夢が断たれた後、井端選手が『もっと勝負強くなりたい』と話していたことに衝撃を受けました。今大会、侍ジャパンのメンバーの中で、誰よりも勝負強かったのが井端選手だと思うからです。これは、どういう意図でのコメントですか。
井端 今大会の日本の試合の多くが、試合終盤に同点に追いつく、逆転するという、ギリギリの展開のものだったのですが、本来、勝負どころは試合終盤だけではなくて、前の方にもあるわけです。試合序盤に大きなポイントを作って、そこで相手を叩いておけば、こんなハラハラする展開にはならなかったはず。
――プエルトリコ戦では3回までをそれぞれ三者凡退で終え、1人の走者を出すこともできませんでした。
井端 そうなると、相手を乗せてしまうし、終盤までズルズル行く可能性が高くなります。バッターの傾向としても1打席目にヒットが出ると、勢いが出るし、2本、3本と出やすい。だからこそ・・・
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