4月8日から東京ドームで行われたセ・リーグの首位攻防戦。
「打倒G」を胸に挑んだ広島だったが、結果は1勝2敗に終わった。
昨年のクライマックスシリーズ・ファイナルステージで喫した3連敗から半年。23年ぶりのリーグ優勝を目指すカープにとって乗り越えなければいけない、王者・巨人との初対決からは、あらためてチームの課題が浮き彫りになった。 文責=編集部 写真=小山真司 立ちはだかる“壁” 4月10日、東京ドームで巨人との今季最初の3連戦を1勝2敗で終えた広島・
野村謙二郎監督は、悔しさをあらわにした。「ここに勝たなければいけないという意気込みで試合に臨んだ。悔しいですよ」
1987年以来27年ぶりとなる開幕から4カード連続での勝ち越しを逃し、同日時点で2位に転落したことではない。昨年のクライマックスシリーズ(CS)・ファイナルステージで3連敗を喫した王者・巨人は、悲願のリーグ優勝を果たすためには超えなくてはいけない“壁”。自身が監督に就任した10年以降は4年連続で負け越しており、シーズンの巨人戦の勝ち星は、6勝→6勝→8勝→8勝と、接戦すら演じられずに敗れ去ってきた。指揮官が開幕前から「巨人に勝たなければ優勝はない。強い気持ちを持って戦いたい」と意気込んでいた宿敵だったのだ。
4月8日のカード初戦では、進化の跡を見せた。2回、
廣瀬純の適時打で先制すると、3回には一番・
丸佳浩が死球で出塁し、すかさず二盗。二死一、三塁として四番・
エルドレッドが左翼前へ運び、1点を追加した。先発した
野村祐輔は、胴上げを許したCSファイナル第3戦の借りを返そうと、再三のピンチを招きながら、低めにボールを集める持ち味を発揮し、6回を1失点。7回以降は
一岡竜司、
永川勝浩、
ミコライオの「勝利の方程式」でシャットアウトすると、9回には
堂林翔太の代打2ランで加点した。王者のお株を奪うリリーフ陣の好投と一発でカードの頭を取ってみせた。先発・
内海哲也が3回途中に丸への危険球で退場もあり、相手エースの乱調につけこんだところまでは良かったが、続く第2、3戦では現在のチームの課題が浮き彫りになった。

▲第1戦に代打起用されダメ押しの2ランを放った堂林。第2、3戦はスタメン起用も結果を残せなかった
同9日は巨人先発の新助っ人・セドン(8回2/3、6安打1失点)、翌10日は開幕投手・
菅野智之(7回2/36安打2失点)の前に沈黙。広島の先発、
大瀬良大地、
篠田純平も好投したが2試合で挙げた3得点のうち、2点がソロ本塁打と打線がつながりを欠いた。
特に3戦目は、クリーンアップの貧打が響いた。4回一死二塁の場面では三番・キラ、四番・エルドレッドが凡退。2点を追う9回には一死二、三塁と一打同点の好機を作ったが、巨人・
西村健太朗の前に五番・
松山竜平六番・
梵英心が連続三振に倒れ、万事休す。半年前と同じ「あと一本」の差に泣いた。
指揮官は「クリーンアップが淡泊。松山に1本出たが、三番から六番がさっぱり。ここまで外国人2人でいい流れで来たが、キラの不調が目立つ……」。開幕から3本塁打を放っているキラだが、巨人3連戦では10打数1安打6三振。昨年途中加入して14本塁打を放った姿はなく、
緒方孝市野手総合コーチも「打撃フォームが戻ってこない。選球眼は良いはずなのに、低めを振って、タイミングが取れていない」と頭を抱えた。
1点の重みを痛感 開幕直後は両助っ人の活躍で、27年ぶりの3カード連続勝ち越しをもたらした。4月13日現在、チーム本塁打はリーグ最多の巨人、
ヤクルトの15本に次ぐ14本だが、総得点はリーグワーストの45。打線が機能しているとは言い難く、カープが目指すべき得点パターンではない。
丸、
菊池涼介のリードオフコンビでチャンスメークし、クリーンアップで走者をかえす――。同11日の
中日戦(マツダ広島)で丸の打順を一番から三番へ変えたように、中軸の不振により、本来あるべきチームとしての戦い方が崩れる危険もある。11日の試合では代わって「一番・遊撃」に入った
木村昇吾が攻守に躍動したが、現状を乗り切りつつチームの形を取り戻さなければならない。指揮官は「今は打線が底。検討しなければいけない」と話しており、一刻も早い主軸の復調が待たれるところだ。
また、第1、2戦と無失策できていた守備陣にも、第3戦で綻びが出た。8回一死一塁から、巨人・
橋本到の一塁線へのバントを、一塁・キラが悪送球。二死二塁のはずが一死一、三塁となり、続く
阿部慎之助に中犠飛を許し、大きな1点を失った。「1点差で最後までいきたいところだったが、明らかに凡ミス……」。試合前から「ミスが失点に直結する」と分かっていただけに緒方コーチは肩を落とし、あらためてその重みを痛感した。
次の対戦は4月25日から本拠地での3連戦。野村監督は「今回より状況は良くなっていると思う。地元で良い戦いができれば」と闘志を燃やす。「3連敗」から半年後の「1勝2敗」。1つの勝ちより、2つの負けから学んだものを次回の対戦で生かすことができるか。目先の順位はもちろん、王者との戦いの質にこだわりたい。