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2014年のペナントレースの主役は紛れもなく広島だった。23年ぶりの優勝を目指した4、5月の快進撃。交流戦では悪夢の9連敗を喫し、首位の座を巨人に明け渡した。オールスター明けに状態を上げ、8月は4月以来の月間勝ち越しで、首位・巨人に1ゲーム差にまで迫った。そのドラマチックな戦いも間もなく幕切れとなる。今回は終演間近の9月9日から14日までの6連戦に密着した。
取材・文=坂上俊次(中国放送アナウンサー) 写真=松村真行、佐藤真一

23年ぶりの緊張感


長期の遠征を終え12日ぶりに本拠地・マツダスタジアムにカープが帰ってきた。ペナントレースは9月戦線に突入。スタジアムに夏の蒸し暑さはない。スポーツ紙には、ゲーム差や優勝ラインの図表が並ぶ。「胴上げ」「ビールかけ」「マジックナンバー」……報道陣が口にする言葉も、夏までとは変わった。

 しかし、カープナインに余計な気負いはなかった。いつものように、練習ではムードメーカーの菊池涼介松山竜平が笑顔を見せる。この若さと明るさこそが、今年の広島の象徴で、それが勢いを呼んでくる。

9/9 ○2-1 中日(マツダ広島)
勝ち投手:中崎翔太 負け投手:福谷浩司

勝負の9連戦の初戦で12日ぶりに広島に帰り、カープナインの戦いが始まった



 勝負の9連戦は前田健太の快投から幕を開けた。「ここまで来たら、内容どうこうよりチームが勝つことです」。エースの言葉に偽りはなかった。8回無失点、123球の熱投。9回にミコライオが1点を失い延長戦に突入したが、10回裏、カープ得意の一丸の攻撃が始まった。一死二塁で代打・小窪哲也が左前打でつないだ。相手投手は快速球の中日・福谷浩司だったが、小窪の頭は整理されていた。「外野は前進、球威を考えると外野の頭は越せない。ならば、まずはしっかりとバットに当てることに集中しよう」。どんな起用でも期待に応える仕事人の執念でチャンスメーク。その数分後には、サヨナラ打の菊池が「最高です!」とお立ち台で絶叫していた。

 チーム全員で勝ち取った勝利。カープナインの笑顔をスーパームーンの満月が照らしていた。

初戦はエース・前田の8回無失点の力投と菊池のサヨナラ打で勝利



9/10 ○4-3 中日(マツダ広島)
勝ち投手:野村祐輔 セーブ投手:ミコライオ 負け投手:若松駿太

9月10日の勝利は1点差を守り切ったリリーフ陣が勝利の立役者。左から中田、中﨑、ミコライオ



 翌10日、ヒーローインタビューのお立ち台に3人の大男が立っていた・・・

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