「期待してください――」。就任会見で広島・緒方孝市新監督は力強く語った。今季、13年ぶりに5割の壁を破るも、結局3位に終わったカープ。さらにCSでもファーストステージで阪神の前に敗れ去った。悲願の優勝へ再挑戦する2015年、野村謙二郎監督からバトンを受けた緒方新監督は燃えに燃えている。 現役時から感じていた投手力の重要性

10月15日、新指揮官発表の記者会見に臨んだ緒方孝市監督。「今年の悔しさを来年の日本一につなげたい」と意気込んだ。左は鈴木清明球団本部長[写真=松村真行]
広島カープを知る人なら誰もが想像していたとおり、第19代監督に、今季、野手総合コーチベンチ担当を務めた緒方孝市が就任した。
外国人監督であった
マーティ・ブラウンの後を受け、生え抜きOBの野村謙二郎が指揮を執った5シーズン、コーチとして支え続けた緒方が新しい指揮官となった。
新監督が10月15日、マツダスタジアムで行われた就任会見で挙げたポイントは、ズバリ2点。「投手力」と「機動力」だった。ある意味、どんな監督でも口にすることだが、悲願の優勝まで近い位置まで来ている現在の広島にとって、現実的な課題であるのは間違いない。
「意外に思われるかもしれないけれど、現役時代から投手のことは機会があるごとに球団に話していた」 緒方はそう話す。主力だった現役時代、例えば契約更改の席で、自分のことだけでなくチーム全体の強化策について話し合うのは珍しいことではない。
特に広島のように家族的な球団なら、なおさらだ。現役野手ながら、常々、投手力の強化の必要性を感じていたのだ。
それほど緒方が投手力にこだわるのはなぜか。それは広島の伝統的な持ち味が機動力にあると強く考えるからだ。
機動力の効果といえば、シンプルなパターンを言えば、単打や四球で出塁した選手が盗塁で二塁を陥れ、次打者の単打で一気に生還する。相手投手にはちょっとしたスキをつかれての失点となり、精神的にもダメージが大きくなるというものだろう。
もちろん盗塁だけでなく、単打と思われるような打球で一気に二塁を狙ったり、ヒット・エンド・ラン、敵のちょっとした守備のミスを突いて一気に攻め立てたりなどケースはいくらでも考えられる。
だが、冷静に考えれば、そういった攻撃で入る得点は普通1点ずつ。満塁本塁打なら一気に4点が加えられる。強打のチームと対すれば、機動力は言うほど有効でないことになる。
ここで投手力が大事になってくる。両軍の先発投手がしっかり試合をつくれば、当然ながら接戦になっていく。1点を争う展開だ。ここで連打が出なくても点を取る可能性が増える機動力は意味を持つ。
自身、長打もある俊足選手として現役時代を送ってきた緒方は、監督就任にあたって・・・
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