優勝候補の一角に挙げられながら、開幕から苦しい試合が続いていたオリックス。開幕6カード連続で負け越すなど、苦しい序盤戦となった。そういった状況の中、緊急の編成会議で、最大の懸念として挙げられたのは精神的疲労だった。そこから一気の5連勝で持ち直し始めた“今後の方針”とは。 文=喜瀬雅則(産経新聞)、写真=佐藤真一 借金2ケタ到達
異常な滑り出し
4連敗が2度、そして6連敗。オリックスにとって、開幕6カード連続での負け越しは、前身の阪急時代の1959年、8カード連続負け越しを喫して以来、実に56年ぶりの屈辱。早々と“借金2ケタ”に到達した。プロ生活36年目の
森脇浩司監督も「これまでの野球生活でも、記憶にない」――。まさしく“異常な滑り出し”といえるだろう。
この14敗の中で、特筆すべきは10度の逆転負けを喫したことにある。その得点経過を見ると、現状のちぐはぐぶりが明らかだ。いったんはリードするのだが、攻撃が“あと一押し”に欠け、故障者が相次いでいる投手陣がリードを守り切れない……という悪循環が続いているのだ。
昨季の勝ちパターンなら、
比嘉幹貴、
岸田護、
佐藤達也、
馬原孝浩の4人で6~8回をしのぎ、守護神の
平野佳寿につなぐ鉄壁のリレー。7回終了時までにリードしていれば67勝2敗の圧倒的勝率を誇った。
ところが、岸田と比嘉は開幕前に故障、平野佳は4月1日の
ソフトバンク戦(ヤフオクドーム)で右足首を痛め、同4日に出場選手登録を抹消。同15日には腰痛を訴えた佐藤達も登録抹消。5人のうち、4人が戦線離脱を余儀なくされている。
野手陣も、昨オフに
中島裕之、
小谷野栄一、ブランコら、打撃タイトル獲得の実績を持つビッグネームを相次いで獲得したが、その新打線が不発。ブランコは古傷の左ヒザが悪化、開幕4試合で15打数1安打の不振で4月1日に出場選手登録を抹消。昨季30盗塁のヘルマンも同8日、走塁中に右太モモ裏の肉離れを起こし、翌9日に抹消。この苦境下で主力打者陣がそろって大不振に陥り、開幕6カード終了時で規定打席到達者での最高打率は
坂口智隆の.264。
糸井嘉男.229、中島.203、
安達了一.196、小谷野.191と軒並み低打率。本塁打0、打率.154の
T-岡田は同17日に二軍落ち。これでは打線のつながりを欠くのも当然だろう。

今季好調な坂口。4月22日時点で打率.329のリーグ4位につけている
瀬戸山隆三球団本部長も、思いも寄らない現状に苦慮していた。
「想定していた以上の故障者が出た。よーい、ドンでスタートしたけども、そこで中島君、小谷野君らの調子も出ていない。糸井君も含めてものすごい期待がかかった中で、攻撃の方で結果が出ず、気持ちが空回りしてしまっている。接戦で負けが続いたこともあって、みんなが『こんなはずじゃないのに』という“負のスパイラル”に入った」という。
テコ入れ策として、外国人のリリーバーと大砲の候補をリストアップしてはいるが、現状の外国人も投手3、野手3の6人。一軍の外国人枠の「4」の「枠の問題もある」と瀬戸山球団本部長は、ビザ取得などの手続きの期間も踏まえ、緊急の外国人補強には、急場をしのぐ即効性が薄いと考えているようだ。
精神疲労を軽減し冷静さを取り戻す
そうした中、同球団本部長、加藤康幸編成部長らフロント首脳、森脇監督、
福良淳一ヘッドコーチを交えた編成会議が行われ・・・
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