その能力は誰もが認めるところ。攻守走のすべてに秀でながら、これまで我慢のときを送っていた。だが、反攻はこれから。日本に、世界に、自分の力を知らしめる。 
写真=桜井ひとし
9月10日に発表されたプレミア12に向けた45人のロースターのうち、2013年秋の小久保ジャパン発足後から一度も代表招集されていなかった野手が4人いる。
西武・
森友哉、
中村剛也、
日本ハム・
中島卓也。そして外野手で唯一だったのが、
ロッテ・
清田育宏だ。
小久保ジャパンはこれまで、プレミア12制覇、そして17年の第4回WBCでの世界一奪還をにらみながら、世界各国との試合を積んできた。そこで培った国際試合の経験は、主要2大会を戦う上での大きなアドバンテージとなる。当然、ロースター選考もこれまでに招集した選手たちがある程度は優先されただろうが、今季の清田にはそれを上回る勢いがあるということだ。
2010年にドラフト4位でロッテに入団した清田が鮮烈な輝きを放ったのが、その年の日本シリーズだった。シーズン3位ながらクライマックスシリーズを勝ち上がり、“下克上”日本一を果たさんと勢いに乗るチームの中で、初戦に
長嶋茂雄(元
巨人)以来となる新人本塁打を放つと、全7試合で30打数10安打1本塁打6打点をマーク。日本一の原動力となり、ビッグインパクトを残した。
だが、華々しく始まったプロ野球人生も、その後は屈辱の連続だった。層の厚い外野陣の中で出場機会をつかめず、昨年までは一度も規定打席に達せず。肉体改造などさまざまな試みをするも飛躍にはつながらずに、14年は自身最低の24試合出場にとどまった。
強打、俊足、強肩。誰もがうらやむ才能を持ちながら、あと一つのきっかけがつかめない。悪戦苦闘が続く中、助けとなったのが14年限りでロッテを退団し、古巣の日立製作所に復帰した
荻野忠寛のアドバイスだった・・・
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