ジャイアンツ・ファンフェスタで実施された高橋由伸の現役引退・監督就任セレモニー。ファンへの感謝の思いと次なる目標への決意を語り、東京ドームは感動の渦に包まれた。 写真=大賀章好 すでに監督業をスタートさせているが、この日ばかりは選手・高橋由伸として、慣れ親しんだ背番号24のユニフォームに袖を通した。
11月23日、東京ドームで行われたジャイアンツ・ファンフェスタ内のイベントで、ファンに直接のお別れを告げられぬまま現役引退、
巨人監督に就任していた高橋由が、引退セレモニーを実施。プロ入り時の監督でもある
長嶋茂雄終身名誉監督も見守る中で現役最後の雄姿を披露した。エース・
菅野智之がマウンドに登り、
阿部慎之助がマスクをかぶっての1打席限定真剣勝負に、東京ドームを超満員にしたファンが酔う。直前まで侍ジャパンの一員としてプレミア12を戦っていた菅野が「全力でいきます。155キロを出します」と宣言していたとおりに剛腕を振ったが、天才・高橋由も負けない。初球、涼しい顔でストライクを見逃すと、2球目の外角高め直球を、左中間へ。打球はスタンドに届かず、悔しそうな表情を見せたが、高橋由らしい投球に逆らわない美しいスイングで安打とし、ファンを喜ばせた。
最後の打席に立った高橋由は菅野が投じた2球目を左中間に運んだ
最終打席の後、長嶋監督から「勝つ 勝つ 勝つ」と書かれたボールを受け取った高橋由の、ファンへの挨拶が、涙を誘う。
長嶋茂雄終身名誉監督からは「勝つ 勝つ 勝つ」と記されたボール、愛娘からは花束を受け取った
「私、高橋由伸は今シーズン限りで現役を引退します。誇れることがあるとするなら、巨人軍で現役を全うし、完全燃焼できたことだと思います。楽しかったことよりも、重圧を感じ、苦しかったことの方が多かったように思います。そんな日常だからこそ、一方で、達成できたときの喜びは大きく、18年間頑張ることができました。来季からは偉大な先輩方が務められてきた監督に就任します。皆さんに誓います。どんな逆境にも立ち向かい、覚悟を持ってまい進します」
6度宙に舞った高橋由。現役生活に別れを告げ、第18代巨人監督として新たな道を歩み始める
名残惜しそうなファンとは対照的に、高橋由はスッキリした表情。その後は新入団選手のお披露目に立ち会うと、「早く一軍の戦力になれるよう、頑張ってください」とメッセージ。その目は2016年シーズンの覇権奪回に向けられている。
セレモニー後には新入団選手発表に臨んだ。来季、新たなチームで覇権奪還に挑む