
5月18日から約60メートルの遠投も開始。6月中の復帰に向けてペースは着実に上がってきている/写真=高原由佳
左太もも裏のリハビリを行う
大谷翔平の背中に、いつもと違う熱い視線が注がれた。5月11日、千葉・鎌ケ谷の二軍施設。2人の担当スカウトに先導され、現れたのはMLBレンジャーズのジョン・
ダニエルズGM、ジョシュ・
ボイドGM補佐だった。メジャーの編成責任者が故障でリハビリ中の選手を直々にチェックしに来たことなど過去にあっただろうか。それくらい異例の出来事だった。
「
日本ハムはすごくリスペクトしている球団で、今まで素晴らしい選手を育ててきたということで、学べることもあるのではないかという目的で来ました。特に世界で知られている二刀流の選手を育成し、ここまでの選手になっています」と同GMは育成システムなどの情報交換を目的として訪問したと説明。だが、早ければ今オフにもポスティングシステムでのメジャー挑戦の可能性がある背番号11の動きをチェックしに来たことは動きを見れば明らかだった。
レンジャーズの一団はその日、大谷が行った一連のリハビリをじっくりと観察。5割程度のスピードで外野ポール間を走った後にキャッチボールをする際にはグラウンドに出てきた。ティー打撃やマシン打撃を行うため、室内練習場に入れば2階の角から見守った。「いまは個人の選手については言える状況ではありません」。タンパリングを禁じた野球協約に抵触しないように一切接触をしなかったが、“日本式”の誠意の見せ方で打った先制パンチは効果てきめん。16日にはカブスの
フェルナンド・セギノール国際スカウトも視察に訪れるなどメジャー側の動きもにわかに活発化してきた。

室内練習場で連日打ち込みをする大谷。その鋭い打球には視察したメジャー関係者たちも感嘆の声を上げた
だが、当の本人は周囲の喧騒には目もくれず、復帰へ向けたリハビリに集中している。18日からは約60メートルの遠投を再開。翌日以降も距離を徐々に伸ばすなど練習の強度は着実に増してきた。当初実戦復帰の目安とされた6週間を経過したが、
栗山英樹監督は「まだ何も決まっていない。状態を見ながら」と慎重な姿勢を崩さない。
いまだ具体的な試合復帰へのスケジュールは不透明だが、球団トレーナーによれば17日に行った定期検査の結果は良好だったという。今月中に屋外でフリー打撃も再開する見込み。そうなればあとは患部の筋力を戻し、ダッシュができるようになれば、というところ。具体的なターゲットは6月中の一軍復帰になるだろう。そして、そのときには札幌ドームのバックネット裏には、メジャーのスカウトたちが待っていましたとばかりに大挙する──。いまからそんな光景が容易に浮かんでくる。