
写真=早浪章弘
誰もが完全復活を予感する強烈な弾道だったが、
大谷翔平に笑顔はなかった。7月26日の
ロッテ戦。唐川から帯広の右翼席場外へ140メートルの特大弾を見せた。左太もも裏の肉離れから6月末に昇格して約1カ月。38打席目での特大アーチだったが、本人は淡々と「勝ち越した後だったんで、まあ……」。チームの北海道移転後1000勝に花を添えたが、多くを語ることはなかった。
当たり自体は今季の球界で1、2を争う飛距離を見せつける文句のないものだった。しかし、この一発は即上昇につながるものではないのかもしれない。
栗山英樹監督も「出合い頭。まだキャンプの第2クールくらい」と語るなど調整段階を強調する。ただ、もともと二軍での実戦を経ずにぶっつけで昇格。一軍の試合で投手の球筋と自らの感覚、スイングを合致させる作業ができ始めたのだけは事実だろう。
しかし打者・大谷の真骨頂は逆方向への強い打球にある。昨年は全22本塁打中15本が中堅から左方向だった。大谷のスイングスピードとパワーがあれば、こすったような打球でも広い札幌ドームの左翼席へ軽く運べる。現在は三振、一、二塁間へのゴロ、内野フライが目立つ。右への一発はきっかけにはなり得るが、調子を計るバロメーターにはならない。だからこそ練習から構えなどを試行錯誤している。
また投手・大谷は停滞していると言わざるを得ない。6月12日の
オリックス戦[京セラドーム]で2回途中KOされて以来、実戦登板はなし……。栗山監督が「投手は丁寧にやっていく」と話すように遠投などでフォーム固めを行っている状況だ。
着実に体は完調に近づき走塁面での不安も解消されてきたが、本来の輝きにはまだほど遠い。残されたシーズンはあと50試合を切った。