誰よりもファンに対して真摯であり、誰よりも野球が大好き。偉大な足跡を残した井口資仁が、ついにバットを置いた。直後にロッテの新監督就任が発表されたが、指揮官としての新たな挑戦の前に、ここでは選手時代の21年間の思い出を振り返ってもらう。 取材・構成=杉浦多夢、写真=榎本郁也、BBM、Getty Image 
9月24日の引退試合で21年間の現役生活に幕を下ろした
決断への道程
6月20日の引退表明会見から3カ月。井口資仁がついに現役引退の日を迎えた。ファンに対して真摯であるがゆえの引退表明は、大きな声援というかたちでむくわれる。この3カ月は、21年のキャリアを誇る井口にとっても、新たな経験を得ることができた日々だった。 引退を球団に伝えたのは昨年のオフで、表明はあのタイミング(6月20日に引退表明会見)になりましたが、自分の中ではずいぶん前から2017年シーズンを最後にしようと思っていました。ボロボロになるまでやり続けるという選択肢もありますけど、動ける間にやめたいという思いがあったし、選手以外の次のステップに進まなければいけないと考えていましたから。
自分としては突然、引退を表明して、残り1、2試合で終わりというのは、これまで応援してくれたファンに対して失礼だという思いがありました。1試合でも多く自分のプレーを見てもらいたい、地方の方にも来てもらいたい。実際、引退を表明したあとは、それまで以上に大きな声援をもらって、やりがいになりましたね。
最後にヤフオクドームへ行ったとき(8月27日、
ソフトバンク戦)にはグッとくるものがありました。相手の先発が復帰戦の和田(
和田毅)だったことも巡り合わせを感じましたし、ファンの歓声もびっくりするくらい大きくて。試合後には選手・コーチが並んでセレモニーのようなこともしていただき、ありがたかったですね。8年間やらせてもらって、育ててもらった場所ですし、一番ホームランを打っている球場。でも、「なんで今は(テラスが付いて)こんなに狭いんだ。当時からこの広さなら・・・
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