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日本ハム・栗山英樹監督インタビュー 新生ファイターズの幕開け 「(清宮)幸太郎は1年目から使います。2020年に侍ジャパンの戦力にするためにも」

 

昨年は日本一から一転、5位に低迷した栗山ファイターズ。オフには大谷翔平をはじめ、多くの主力が移籍し、チームはいま大きな転換期を迎えているとも言える。それでも指揮官に悲壮感は一切なし。真っ青なアリゾナの空の下で逆襲への秘策、胸に秘める2018年シーズンへの決意を語ってもらった。
取材・構成=松井進作、写真=山口高明(インタビュー)、高原由佳


情熱の指揮官が描く覇権奪回への青写真


監督就任7年目を迎えた2018年シーズン、情熱の指揮官は新たなチームの胎動に確かな手応えも感じながら、開幕に向けて用意周到に準備を進めている。新生ファイターズ幕開けの1年。栗山英樹監督が思い描く戦力構想の全貌に迫った。

──アメリカ・アリゾナ州での春季キャンプも第3クールに入りましたが、2018年シーズンの戦力構想の全体像は、栗山監督の中で思い描けていますか。

栗山 (うなずきながら)チームとして、こういうふうに2018年は戦うんだというものはだいぶこのキャンプで見えてはきましたね。レギュラーを一度白紙に戻すと言い続けてきましたけど、1つや2つはすでに確定と言ってもいいポジションもあります。一方でこんな選手がここを守るのかっていう状況もあり、そういう意味ではすごく楽しみなシーズンになりそうだなと大きな期待感が僕の中ではあります。

──チームの要でもあった大谷翔平選手(エンゼルス)を筆頭に、増井浩俊選手(オリックス)、大野奨太選手(中日)、マーティン選手(レンジャーズ)らが抜けた中での船出となりますが、十分にその穴を埋められる手応えはある、と。

栗山 彼らが抜けたことのマイナスイメージがどうしても強いと思うんですけど、フロントも含めて僕らは実はそういうふうにはまったく考えてはいないんですよね。チームが優勝するためにどれだけの勝ち星が必要なのか、また各ポジションにどれくらいの戦力があればいいのかというのを毎年計算しながらやってきていますし、彼らとの比較をして補強もしているわけではないので。あくまでもいまのチームに足りないものは何なのか、2018年度シーズンで勝つための戦力をいま整備して見極めているところです。その中で新たな外国人選手が4人入ってきてくれて、しかもかなりの確率でやってくれそうなものをすでにこのキャンプでも見せてくれていますから。それは編成部門のトップであるヨシ(吉村浩GM)の力ですけど、本当に勝ち切れるメンバーがそろったなと手応えは感じています。

──2018年シーズンのキーマンになりそうな新外国人選手4人の起用法についてはもう決めていますか。

栗山 マルティネスロドリゲスに関しては基本的に先発で考えていますし、トンキンに関しては後ろのほうの1イニングを任せたいとは思っています。外野のアルシアも普通に力を出してくれれば絶対に打ってくれる選手なので。本当に4人とも技術が高い。だからレアードさえも開幕のときに外国人枠4人の中の1人に入っているかは安泰ではないですし、それぐらいハイレベルな争いになると僕は思っています。

左からマルティネス、栗山英樹監督、トンキン、ロドリゲス。チームの新たな戦力として指揮官も大きな期待を寄せる


──ビザの取得の関係でアリゾナキャンプの合流が遅れていますが、アルシアはタイプ的にペタジーニ(元巨人ほか)のようなバッターだとも評価されていました。

栗山 そうですね。アルシアに関しては映像で繰り返し何度も何度も見てきましたけど、本当にペタジーニのような柔らかさとパワーを兼ね備えたバッターだと思います。チームとしてもどうしても欲しかった選手でしたし、必ず日本の野球にもアジャストして、2018年型ファイターズ打線の大きな軸の1人になってくれるはずです。

──そうなると難しくなってくるのは外国人枠の問題でしょうか。

栗山 本当にそのとおりで、これだけ5人が5人とも使いたくなるような形ってなかなかないので。必ずやり方によってはチームに大きな力をもたらしてくれる存在なので、そこに関しては僕の一番の重要な仕事かなと思っています。普通に考えれば翔平たちが抜けてチームを立て直すのに時間がかかるだろうと思われているかもしれないですけど、こういうときこそ攻めて、攻めて勝ちにいくのがファイターズというチームなので。それはフロントと僕たち現場の共通認識ですし、昨年の悔しい思いもすべてぶつけて戦っていきたいと思っています。


──外国人選手以外にも目を向けると、大谷選手が抜けた打線のカギを握りそうなのが進境著しい近藤健介選手になりそうですが、彼の起用法についてはどんなプランを思い描いていますか。キャンプではキャッチャーとして第1クールから練習を続けていますが。

栗山 間違いなく肝になる選手ですよね。本当にキャッチャーに入ってもらうならチームの構成も変わってきますから。ただ、前ほど僕は近藤のポジションに関してはこだわりがないというか、あれだけのすごいバッティングを見せてくれれば別にどこを守ってもいいのかなと思っています。それこそケースバイケースでやりながら、どこかに固定させる必要もないのかなと。現段階ではっきりしているのは近藤、アルシア、あとは西川遥輝の3人の左バッターをいかに143試合使い切れるかというのはチームが勝つために大きなポイントになりますし、外国人枠と同じように、いろんなスタメンや守備位置のパターンを開幕までにシュミレーションしていければと思っています。

ここまでのアリゾナキャンプでは捕手に再挑戦している近藤健介。守備位置を含めて2018年シーズンのキーマンの1人になりそうだ


2020年を見据えた清宮育成メソッド


──アリゾナキャンプでも一番の注目を集めている清宮幸太郎選手の起用法については現段階でどんな考えをお持ちですか。ズバリ、1年目から一軍で使う?

栗山 もろろん、使いますよ。これは彼がドラフトでファイターズに入ることが決まったときから言い続けてきましたけど、2020年の東京オリンピック、2年半後の侍ジャパンの戦力になるというのが最低ラインの目標だと思っているので。そのためにこれからどういったステップを踏んでいけば一番いいのかを考えていますし、いまは打撃練習がケガの影響で思うようにできていませんけど、いざ打席に立てば打つことはもう間違いないので。だから幸太郎にはいまだけを見るのではなく、2020年、またその先に向けて一歩ずつ焦らずにやっていってほしいと思っています。

日本中の注目を集める黄金ルーキーの清宮幸太郎。指揮官は1年目からの一軍起用を明言した


──ポジションは主に一塁の練習をキャンプではしていますが、これからサードや外野での起用も構想の中にはありますか。

栗山 そこに関してはこちらもいろいろと考えていますし、彼の選手としての幅をもっと広げてあげたいという思いもあります。それを大前提とした上で、1年目から戦力になれる可能性が高いわけですから、まずは幸太郎が一番得意なファーストから試合に出してあげていったほうが彼の成長のためにはいいのかなとも考えています。とにかくポジションうんぬんで最大の魅力であるバッティングに影響が出るのだけは絶対に避けたいですからね。

 だから高卒ルーキーではありますけど、守備の負担のない指名打者で起用する可能性も十分にあると思います。もちろんすごく躊躇もしますよ。あの翔平を同じ高卒1年目のときに指名打者で使ったときもさんざん悩んだので。ただ、翔平のおかげでそれもありかなと思えた部分もあるんですよね。高卒で指名打者なんてダメだよって先入観にとらわれず、その選手の成長をうながしてくれるステップ、またチームが優勝するための起用であるなら思い切ってやるべきだと。そういう意味ではこれは翔平が僕に残してくれていった遺産の1つなのかなとも思っています。まあ、翔平には直接こんなことは絶対に言いませんけど(笑)。

──チームがさらに前に進むための施策として、2018年シーズンから中田翔選手を新キャプテンに指名しました。本人に通達するときには「翔を信頼しているし、負けたら翔のせい。それくらいの気持ちで俺と翔は戦っているんだ」といった言葉を掛けられたそうですが。

栗山 そうですね、翔とはそんな話を2人でしました。翔が打たないとウチは勝てませんし、彼の持っている力からすればまだまだこんなもんじゃないので。僕は本気で三冠王を獲れるバッターだとずっと言い続けていますし、とてつもない成績を残せる選手だと信じているので。あえてキャプテンという重責を背負わせましたけど、彼には自分がチームを優勝させるんだぐらいの覚悟を持ってやっていってほしいですし、また新たな中田翔が見られる1年になればいいなとも思っています。

チームの新キャプテンになった中田翔。昨年の悔しさを晴らすために先頭に立ってナインをけん引している


──キャンプが終わればオープン戦が始まりますが、3月30日の開幕投手に関してはまだ決めていないのですか。

栗山 そこですよね……。例年だとこの時期に発表していたりしましたけど、有原(有原航平)がキャンプ序盤で右肩の炎症で一度ストップしているのと、ほかの投手たちの可能性も含めてもう少し見てみたいなと思っています。

──栗山監督が開幕投手に求める1つのポイントに「チームに1勝以上の勢いを与えてくれる選手が理想」とお話されていたことがありましたが、そういう意味ではこちらの度肝を抜くようなサプライズ起用の可能性もある。

栗山 まあ、いろいろと考えてはいます。普通に考えれば有原が順調にきていれば当然と思っていた部分もありますけど、そうでないのであれば、チームが優勝するために143分の1のそのゲームをどう使っていくかを考えたほうがいいのかなとも思っていて。頭の中に数人のピッチャーが思い浮かんでいますが、まだ決めていません。考えます。

──最後に栗山監督の2018年シーズンへの決意、また読者プレゼント用のサイン色紙に添えていただいた「喜神」という言葉に込めた意味を教えていただけますか。

栗山 僕の決意はチームの目標と同じですけど、もう優勝しかないですね。絶対にやり返してやるぞっていうシーズンですし、こういうときのほうが燃えるというか、僕らしいというか。そういう意味では昨年よりも開幕が楽しみな自分もどこかにいます。あとは色紙に書いた「喜神(きしん)」は陽明学者・思想家の安岡正篤さんの言葉で正確には喜神、感謝、陰徳(いんとく)って言葉が続いていくんですけど、どんなに苦しいときでも日々の出来事に感謝しながら、喜びを持ちながらやっていかないといけないよという意味があります。本当に長いシーズンの中で楽しみもあれば、苦しいこともたくさん出てくると思うんですよね。それでも心のどこか奥のほうに喜びを持つことで乗り越えられるし、成長できるので。2018年シーズンがいよいよ始まりますけど、この1年はこの言葉を胸に刻んで戦っていきたいと思っています。


PROFILE
くりやま・ひでき●1961年4月26日生まれ。東京都出身。創価高から東京学芸大を経て、1984年ドラフト外でヤクルト入団。シュアな打撃と鉄壁の外野守備で3年目のシーズン後半からレギュラーに定着。89年にはゴールデン・グラブ賞のタイトルも獲得した。90年に現役引退後は野球解説者として活躍。2012年から北海道日本ハムの監督に就任し、下馬評を覆す快進撃で1年目から優勝。16年にはチームを10年ぶりの日本一に導いた。就任7年目を迎える18年は新たな戦力で覇権奪回に闘志を燃やす。


ユーザープレゼント
栗山英樹監督の直筆サイン色紙




※締め切りは2018年2月26日(月)、当選者の発表は賞品の発送をもって代えさせていただきます。※ご応募いただいた個人情報は、懸賞の目的以外での利用はいたしません。
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