
今季2度目の完封勝利を挙げ、小林誠司らと満面の笑顔でタッチを交わす菅野智之/写真=榎本郁也
自己最多の13奪三振も
普段は三振を意識しない菅野智之だが、5月11日の
中日戦(東京ドーム)は面白いように相手打線のバットが空を切った。力の出し加減、抜き加減が絶妙。ハイライトは2つ。まずは3対0で迎えた7回無死二、三塁の場面だ。内野の陣形は1点はやむなしの定位置。しかし、昨季4完封の沢村賞右腕の考えは違った。
「全員三振を取るつもりでいました。1点取られたら展開が変わっていたかもしれない。この試合の分岐点だったと思います」と、四番・
ビシエドの遊飛後、続く
福田永将、
藤井淳志を空振り三振でねじ伏せ、反撃の芽を力で摘み取った。
ギアを最大限に引き上げたのが9回一死一、三塁のシーンだろう。6対0と
大勢は決していたが、「絶対に完封しかないと思っていました。1点でも取られたら、最後までマウンドに上げてもらった意味がありません」と、ここでは四番・ビシエドに徹底した内角攻めの後、最後は外角スライダーで空振り三振に斬って取り、五番・福田を三ゴロで今季2つめの完封勝利。9回、このビシエドから奪った三振が自己最多タイの13個目で、すべて空振りと中日打線を圧倒した。
これほど空振りが多かった要因にフォークの有効活用が挙げられる。初回、一番の
大島洋平に内角ストレートを思い切りよく中前に運ばれたのを見て、ストレート狙いを察知。すぐに捕手の小林誠司と意見を交換し、「前の試合であまり使っていなかったので、早めにフォークを使おうと話しました」。この臨機応変な対応が功を奏す。2回一死の福田から4回二死の
京田陽太まで7者連続奪三振。これは2012年の
杉内俊哉らに並ぶ球団タイ記録(4人目)で、完全に流れを掌握した。
5回以降はフォークの残像を生かした直球主体に切り替え、「甘く入っても空振りが取れました」とトータルで考えたマネジメント力の高さは群を抜いている。ちなみに、これで27イニング連続無失点中。「首位の
広島をとらえて優勝できるよう頑張りたい」。エースの視線は、頂点だけを見据えている。