セ・リーグ6人のクローザーの中では、DeNA・山崎康晃の防御率1.16に次ぐ同1.56(※7月8日時点)。群を抜く安定感を見せている。目指してきた場所で輝くために、日々の準備は怠らない。6年目の投手キャプテンが、献身的な働きで“燕の逆襲”を支えている。 取材・構成=富田庸、写真=榎本郁也(インタビュー)、小山真司 ※成績・記録は7月8日時点 【クローザー】ずっと投げたかった場所
昨季同様、セットアッパーとして開幕を迎えたが、新たにクローザーの座を担うカラシティーが不安定な投球を続け、4月末に登録抹消となる。そこで白羽の矢が立ったのが、石山泰稚だった。9回の石山は安定感抜群。5月8日の中日戦(福井)から6月17日の日本ハム戦(札幌ドーム)まで16試合連続無失点。中尾輝、近藤一樹から石山につなぐ新たな“勝利の方程式”が、燕軍団の大きな推進力となった。 開幕当初はセットアッパーでしたが、シーズン途中からクローザーをやらせてもらっています。9回のマウンドは僕の目標でもありましたし、そこで投げたいという思いはずっと持っていたので、光栄ですね。
7回、8回を任されていたときは、ブルペンで準備をしながら試合展開を読み、それでも逆転される場合があったりしますから。準備をするのが難しいポジションでした。クローザーは9回に投げることが決まっていて準備はしやすいです。でもその分、試合をしっかり締めないといけないというプレッシャーがあります。だから、どちらが簡単でどちらが難しいかというのは、一概には言えないところですね。
昨年、中継ぎで66試合投げさせてもらい、その経験が生きていると感じます。リードを保ったまま試合を締めることができた瞬間は、ホッとするという気持ちが一番です。「やった!」という喜びよりも安ど感が大きい。勝利をつかむことは、自分だけの力ではできないことですから。
記録を見ると、6月24日の
巨人戦(東京ドーム)で失点するまで、16試合連続無失点。でも、それはまったく気にしていません。失点した試合では3対0から2点返されましたけど、1点差で締めることができました。クローザーの仕事は点を取られないことではなく、リードを保ったまま試合を終わらせること。負けなければいいわけだし、打たれても1点差ならばOKだと思っています。
交流戦では10試合無失点で終えることができましたが、これはキャッチャーの中村(
中村悠平)のおかげです。対戦が少ない打者ばかりですけど、スコアラーの方が示してくれるデータを元にしっかりミーティングができましたし、試合後にも内容を振り返るなど、しっかりとコミュニケーションが取れた結果でした。
そして勝率1位。6月17日の日本ハム戦(札幌ドーム)のマウンドに上がった際には、もちろん球団初というのは頭にありました。でも、そんな気持ちは抑えて、「いつもどおり」を意識。当たり前のことを当たり前にやった結果が勝率1位でした。通常のリーグ戦でも、その気持ちを忘れずに投げたいです。
また、個人賞(日本生命賞)をいただきましたけど、僕が9回のマウンドに上がれるのは、打者の方々が打ってくれたからであり、先発、中継ぎ陣がつないでくれたからでもあります。僕が代表して賞をもらっただけで、みんなで獲った賞です。

交流戦では10試合に登板して防御率0.00。連続無失点は「16」まで伸びた
【責任感】キャプテンの役割
昨季、球団ワースト96敗を喫した。投壊が大型連敗を招く要因の一つだった。今季から投手キャプテンに就任した石山。不甲斐ない敗北から立ち上がろうとしているスワローズ。その変化を肌で感じている。 今年から投手キャプテンに指名されたわけですけど、自分ではそれほど意識していません。僕にみんなをまとめる力はないと思っていますし、実際にまとめていないです(笑)。発言力もないですし、キャプテンらしいことは何もやっていない。みんながやるべきことをしっかりやっているので。ただ、「キャプテン」という肩書がある以上、自分が姿勢で示さなければいけないというプレッシャーは感じているところです。
まとめ役には石川(
石川雅規)さんや近藤(近藤一樹)さんという年長者がいますから安心です。また、外国人でも来日2年目のブキャナンなどは、チームが苦しい時期に明るいムードを作って盛り上げてくれる。だから、僕は何もすることがないけど、うまく回っているわけですから。それでいいと思っています。
正直、昨季は負けグセがついてしまい、どうしても勝ちをイメージすることが難しかった。でも、今季は投打がかみ合うことも増えてきています。また、青木(
青木宣親)さんが帰ってきてくれたおかげで、だいぶチームのムードは明るくなりましたね。野球はチームプレー。青木さんは野手だけでなく、投手のことも考えてまとめてくれるんです。チームが一丸となっているなと感じる部分は大いにあります。負けが込んでくると選手だけのミーティングの場を設けてくれるし、青木さんだけでなく、石川さんや中村の発言も効果がある。やはり勝つことが一番。勝利後にハイタッチをするだけでチームのムードも一気に上がりますし。そこが昨季との大きな違いですね。

交流戦勝率1位を確定させ、捕手の中村とガッチリ握手。女房役の支えに、感謝の気持ちを忘れてない
【仕事】2児の父として
家庭に戻れば2児の父親。支えてくれる妻や子どもたちの存在自体が、石山の活力源となっている。登板機会が増えることが、チームの勝ち星増に直結する。家族のために、チームメートのために、「背番号12」は目いっぱい腕を振り続ける。 僕にとって野球は“仕事”です。首脳陣から「行け」と言われれば喜んで行きますし、仕事の機会を与えてもらうのはありがたい限り。だからこそ、体のケアが重要になります。
今シーズンに臨むにあたり、僕自身が考えたのが基礎の重要性です。昨年、66試合も投げたわけですから、肩、ヒジの疲れは当然ある。そこは体と相談しながら。オフは、日によっては軽めのキャチボールだけにしたり、投げないこともありました。その分、基礎トレーニングに時間を割いたんです。ウエートや体幹トレーニングで体を強くしようと。これは3年ほど前から重点的に行っていて、毎年、強化する部分を変えながら取り組んでいます。
始めた当初は、はまらなかった部分もありましたけど、試行錯誤を繰り返しながら、自分に合った形というものが分かってきました。以前に比べて筋肉量がアップした実感がありますし、目いっぱいでなくても出せる力は増えてきたと思っています。
アスリートとして食事面も気を使う部分です。暑くなってきてバテたりすると、どうしても水分量が多くなり、食べられなくなってしまう。トレーニング施設には管理栄養士の方がいて、どの栄養素が足りないなどアドバイスをくれます。それを元に家での食事、また、神宮のクラブハウスでも試合後に食事が用意されているので、意識しながら食べています。それでも足りない栄養素はサプリメントで補いますね。
オンとオフはしっかりと切り替えるようにしています。球場を出たら、野球のことはほとんど考えません。休みの日は子どもの面倒を見たり、体のケアに充てています。子どもは3歳の長男と1歳の長女の2人。僕は月曜日が休みで子どもたちは保育園がありますから、遠出はできないですけど、一緒にご飯を食べたり、お風呂に入ったりとか。なかなか一緒にいる時間がないので、休みの日くらいは子どもたちのそばで過ごすようにしています。
3歳の長男は本当に野球が好きで、選手名鑑を見て
ヤクルトの選手の顔と名前を覚えるんです。そして毎日のように「野球が見たい!」と(笑)普通、3歳くらいの子だと、球場に来ても飽きてしまって騒いだりするじゃないですか。でも、うちの長男はずっと真剣に野球を見ているようです。長女はまだそこまでではなく、ヤクルトのユニフォームを来ている選手を見るとみんな「パパ!」と言っていますね(笑)。

神宮でのナイター前、隣接するグラウンドで調整する石山。登板機会は連日になることもあり、日々の準備が不可欠だ
もうすぐオールスターが開催されますし、シーズンも折り返し地点に来ています。これからさらに厳しい場面が増えると思いますが、僕自身がやることは変わりません。これまでどおり、日々、当たり前のように投げられればいいなと思っています。そして、先発、救援投手全員で去年の悔しさを晴らしていきたい。もちろん、野手の皆さんとも力を合わせて。チームプレーで、一丸となって戦っていきたいです。 【TAICHI'S MEMO】石山から見た“勝利の方程式”
今は中尾や近藤さんが僕の前を投げることが多いのですが、僕がそうだったように、同様に準備する難しさを感じているはず。そんな中で本当に頑張ってくれていると感じます。中尾は大卒2年目ながら、打者に向かっていく姿勢は僕としても見習うべき部分です。近藤さんもチームに流れを引き寄せる投球をしてくれている。だからこそ、自分がしっかり締めなければという思いにしてくれる存在。僕に良い刺激を与えてくれる2人と言えますね。
PROFILE いしやま・たいち●1988年9月1日生まれ。秋田県出身。右投右打。182cm75kg。金足農高、東北福祉大、ヤマハを経て2013年ドラフト1位でヤクルトに入団。1年目からセットアッパーに定着し、オールスターにも出場。2年目以降は先発も経験した。16年は右ヒジ故障の影響で13試合の登板に留まるも、17年はセットアッパーに定着して66試合登板。今季途中からはクローザーに転向し、交流戦では10試合連続無失点をマーク。交流戦勝率1位に貢献し、日本生命賞を受賞した。
ユーザープレゼント
石山泰稚選手の直筆サインボールプレゼント
※締め切りは2018年7月23日(月)、当選者の発表は賞品の発送をもって代えさせていただきます。※ご応募いただいた個人情報は、懸賞の目的以外での利用はいたしません。