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データで解析 野球の謎!?

松坂大輔はカットボールを軸としたピッチトンネルを駆使しながら巧みに投球を組み立てている

 

野球界で当たり前のように使われている言葉やプレー。「結局、それってどういうこと?」と聞かれると、意外にうまく説明できない事象を、データや数字を使って解析していく。第27回のテーマは「中日松坂大輔のピッチング」だ。

ピッチトンネルとその応用で衰えた球威をカバーしている。松坂は鮮やかにモデルチェンジを果たした


カットボールを軸にすることで投球の幅を大きく広げている


 今回は2018年シーズンに鮮やかな復活を遂げた中日・松坂大輔投手の投球データをひも解き、活躍した理由の一端を探っていきます。

図1 松坂大輔の投球割合(2018年)

データ提供●(株)共同通信デジタル


 松坂投手の投球における最大の特徴は投球割合です。カットボールが全投球の約41%を占めています(図1)。このカットボールを軸にしながら球速の近いフォーシームやツーシーム(表1)とピッチトンネルを構成する、つまり途中まで同じような軌道で投げることで同じようなボールに感じさせています。よく「フォーシームが投球の軸」と言われますが、それだけではないと言えます。このスライド方向に変化するカットボールを軸とすることで、さらにスライド方向へ曲がり落ちるスライダーともピッチトンネルが構成しやすくなります。ツーシームと近い変化量と予想され、かつ球速差が約11キロあるチェンジアップを交えることで、前後の奥行きを使った組み立ても可能になっています。

表1 松坂大輔の球種データ(2018年)

 このピッチトンネルを応用した「フロントドア」「バックドア」と呼ばれるボールの使い方、配球を松坂投手が駆使しているのはVol.13で解説したとおりです。特にボールゾーンからストライクゾーンに入れるツーシームで見逃しストライクを数多く取れているのは、投球の軸となっているカットボールを打者に強く印象づけているためでしょう。事実、ほかの球種に比べれば奪空振り率は低いのにストライク率自体は高くなっています(表1)。

 こうした「動くボール」「ピッチトンネル」を利用した組み立ては、フライより長打になる確率が低いゴロを打たせやすいものですが、松坂投手は全体的にリスクの高いフライのほうが多くなっています。やはりフォーシームの平均球速約139キロと全盛期より球威が落ちているためでしょう(表1)。逆に言えば、衰えた球威を、ピッチトンネルをはじめとした巧みな組み立てでカバーしているということです。かつてのパワーピッチャーとしてのスタイルからモデルチェンジを果たすことができたのも、松坂投手の投球センスだと言えるのではないでしょうか。

解説者 PROFILE
神事努/じんじ・つとむ●国学院大学人間開発学部健康体育学科准教授。1979年生まれ。バイオメカニクスを専攻し、中京大学大学院で博士号を取得。2007年から国立スポーツ科学センター(JISS)のスポーツ科学研究部研究員。国際武道大学体育学部を経て、2015年4月から現職。株式会社ネクストベース エグゼクティブフェロー。
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