高卒1年目の2016年。二軍の本拠地・鳴尾浜球場で先発する日には、当時の金本知憲監督が何度も視察していた。それだけチームから期待されている男だ。腰の故障から復帰し、昨季は中継ぎで37試合に登板。今季は先発に挑戦する。生命線は「直球」。渾身の1球で2019年に勝負する。 取材・構成=椎屋博幸、写真=小山真司(インタビュー)、榎本郁也 
自慢の、そしてさらに磨きをかけている真っすぐで開幕先発ローテ入りを目指す
藤川球児の球筋に衝撃
2018年7月3日。甲子園での中日戦の8回、高卒1年目以来2年ぶりに一軍のマウンドに立った。最速155キロを計測し、2イニングを5奪三振。まぶしいほどの輝きで戻ってきた。その後は、中継ぎとして一軍に定着し37試合に登板。だが勝ち負けなしの防御率4.30で、躍進とまでは至らず、課題を残した1年ともなった。さらなる輝きを増すために、オフにもう一度、自慢の「直球」を磨くことを決意。開幕先発ローテーション入りを目指している。 ――昨年7月途中から一軍に昇格し、中継ぎで投げたことで何か今季への課題が出てきたことはあったのでしょうか。
望月 昨年は、自信を持っていた直球を打たれることがありました。そこで一軍で活躍し、定着するには直球よりも、変化球を磨かないといけない、という思いが出てきました。でも一方で、まだまだ直球を強くしたほうがいいのかな、という思いもどこかに残っていて、この2つの考えが心の中に残っていました。すぐには答えが出なくてモヤモヤしながらオフを過ごしていました。
――それが今では、直球の強さを求めています(下記「2019年の“一語”」参照)。
望月 1月オフ、球児(
藤川球児)さんと自主トレをさせてもらいました。そのときにすべてが吹っ切れました。球児さんの遠投でのボール。そして直球を見て、僕自身、何が大事なのか分かりました。やはり僕も強い直球を追い求めないといけないな、と。
――望月選手自身、直球を投げる中で、何か足りない部分があると感じていたのでしょうか。
望月 変化球でストライクが取れないときなどは、どうしても直球に頼っていくところがありました。その状況になれば、相手打者も僕には直球しかないことは、分かっています。僕自身もストライクを取る、打者をアウトに取るには真っすぐしかないという状況ですから、分かっていても投げざるを得ない。そこで一軍の打者は、確実にバットの芯に当ててきました。簡単にヒットを打たれてしまっていたんです。
――そこで変化球を磨き、カウント有利にしたほうがいいと考えた時期もあったということですね。
望月 はい。でも・・・
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