
内川さん[写真左]とまた一緒にお立ち台に立ちたいですね/写真は2017年4月2日のロッテ戦=ヤフオクドーム。右はサファテ投手
師匠との出会い
チームは9連勝で、2位との差を広げました(7月7日時点で6ゲーム差)。僕はあいかわらず「まだまだ」ですが、調子を上げてきたのが師匠・
内川聖一さんです。勝負強いバッティングで連勝の立役者の1人となりました。
内川“選手”を一言で表現するならば『負けず嫌い』。僕も負けず嫌いですが、内川さんも一番が好きなんだなと思いますね。僕自身と重なるところがあります。内川さんを見て、負けず嫌いじゃないとトップにはなれないと思わされます。
1年目の2014年、春季キャンプで内川さんの打撃練習を見て衝撃を受けました。打球がキレイというか、軽く打っても飛んでいく。それまでプロ野球選手の打球を間近で見ることはありませんでしたが、ボールをとらえる確率も高いですし、打球の質、飛距離……、どれをとってもすごかったですね。
このときは言葉を交わすことはありませんでした。「初めまして」は数カ月後、病院で。内川さんは当時、リハビリ組だったのかな。たまたま同じ日に病院に行ったんです。たしか「どこケガしたんだ?」みたいな会話でした(笑)。
自主トレの弟子入りが具体的な話になったのは、そこからまたしばらくして。知人を介してでした。「(内川さんと)ご飯行きたいですね」って話になって、それを聞いた内川さんが「じゃあ、自主トレ来ればいいんじゃない」と誘ってくださったんです。ちょうどそろそろ自主トレのこと考えなきゃいけない時期だったのですが、高卒1年目の僕は何の知識もないし、むしろ自主トレって!? という状態。お誘いがすごくうれしかったです。
内川さんは右打ち、僕は左打ちですが、そこはまったく気にならなかったですね。バッティングの基本的な考え方は一緒だと思うので、それをどう自分に取り入れるか。内川さんって教えるのがうまいんですよ。押し付けることがなくて、「こうしたほうがいいんじゃない」と優しくアドバイスしてくれて、それがすごく分かりやすい。言われてやってみると、すぐ良くなりました。結果が出たことで、あらためて内川さんのすごさを思い知らされました。
師匠はすごい!
ほかにもすごいところはたくさんあります。内川さんは常に新しいことをやっていきたい人。探究心の強さに驚かされます。成績につながる、つながらないは関係なく、貪欲に挑戦する姿には刺激を受けますね。
イチローさんもそうなんですよ。毎年フォームも違うし。そういう部分では2人を重ねて見ています。
ただ、僕の中でのイチローさんと内川さんの位置づけは……難しいです。内川さんは近くにいる存在で、イチローさんは離れてはいますが、あこがれであり目指すべき存在。といっても自分は自分なので、2人の素晴らしいところを吸収して自分を作っていければいいですね。
内川さんからはこれまでたくさんのことを教わってきて、たくさんの言葉をかけてもらいました。特に印象的だったのは『目先の結果にとらわれるな』という言葉です。今に重なってくるんですよね。結果が出てなくても焦るんじゃなくて、先を読んで考えたらもっと楽になるのかな、と。苦しい今だからこそ、響いている言葉でもあります。
今回の離脱した際も、行く前に「ちゃんと練習してこいよ!」と言われました。離脱中、帰ってきてからは特別な言葉はありませんでしたが、ベンチの隣に内川さんがいる。それだけでもう……。隣に内川さんがいるのは心強いです。
今シーズン、内川さんの懸ける思いも強く感じています。昨年、ケガなどもあり悔しい思いをして、もう1回見返してやろうという気持ちが強いのでしょう。なかなか結果が出ない中でも自分なりに切り替えてやろうとしている姿は、僕にとっても刺激になります。また、試合中の投手への声掛けなどは、まだ若手選手にはできないところ。オーラや存在感がある人なので、いるだけでチームにとってプラスだと思いますね。
最後に内川さんへ。今シーズンが始まる前に「今年はずっとベンチで隣にいてください」って言っておきながら、僕が外れてしまって……。なので、後半戦は2人でたくさん活躍しましょう。また一緒にお立ち台にも立ちたいです。
PROFILE 上林誠知/うえばやし・せいじ●1995年8月1日生まれ。埼玉県出身。185cm84kg。右投左打。仙台育英高から2014年ドラフト4位で
ソフトバンク入団。入団当初から将来の主軸候補として期待され、4年目の17年には開幕スタメンからシーズンを完走。昨季は右翼のレギュラーの座をつかんで全試合出場、打撃主要部門でキャリアハイの成績を収めた。侍ジャパンでは
稲葉篤紀監督就任以降、メンバーに名を連ねている。