「本当にいろいろなことがあったけど、スタッフが支えてくれた。しっかり戦ってくれたと思います」
39歳の青年指揮官・
平石洋介監督はレギュラーシーズンを終えると、こう総括した。3位でフィニッシュしてCSへの出場権を獲得。チームにとってマイナス面が重なったが、最低限の目標はクリアしたシーズンだったと言えるだろう。
開幕前に
則本昂大、開幕直後に
岸孝之と、二本柱が離脱したのが痛かった。コマ不足の先発陣に、ルーキー左腕の
弓削隼人が抜てきされるほどだった。そんな中、先発では
石橋良太の台頭が最大の収穫。開幕3戦目に中継ぎとしてプロ初勝利をマークすると、5月からは先発へ配置転換。チーム2位の8勝をマークし、苦境のチームの救世主的存在となった。
さらには救援陣の奮闘も見逃せない。クローザーの
松井裕樹はキャリアハイとなる68試合登板で38セーブをマークし、念願だったセーブ王のタイトルを獲得している。
中継ぎでは
森原康平が62試合、
青山浩二が62試合に登板とフル回転し、
宋家豪、
ブセニッツの助っ人コンビが抜群の安定感を見せた。
福山博之が今季も不調から抜け出せず、わずか7試合登板に終わったのは誤算だったが、ベテランの
ハーマンを含め、ブルペンの厚みで接戦を制するシーンも多かった。
打線にも確固たる軸ができた。試合を重ねる中で、三番・
浅村栄斗、四番・
ブラッシュが定着。今季から加入した2人が打線のけん引役となった。ともに33本塁打でチームトップを分け合い、浅村にとってはキャリアハイの数字。ブラッシュは95打点でチーム2冠王となった。また、一番・
茂木栄五郎は自己最多となる160安打をマークし、
島内宏明は「つなぎの四番」を務めるなど、さまざまな役割をこなした。
先発が手薄な中で救援投手が粘ることで、終盤での逆転劇が目立つようになる。今季、先制されながら逆転でものにした勝利は28度あったが、そのうち最も多かったのが
西武戦で8度。今季の対戦成績は14勝11敗で、その半数以上を逆転により手にしたことになる。リーグ屈指の強力打線にもひるまず、粘り強く攻めた結果だった。
また、今季のサヨナラ勝利はすべて先制されてからのもの。特に5月の2試合は神懸かっていた。5月8日の
ソフトバンク戦(
楽天生命パーク)は最大7点差、同15日の
日本ハム戦(同)は最大8点差を逆転しての勝利だった。「逆転イーグルス」の異名はダテではなかった。
ただし4位の
ロッテに負け越すなど、下位3球団に対して借金1。このような不安定さを露呈したことが、優勝争いに絡めなかった理由だ。
2019イーグルス5大TOPICS
1. 平石監督が1年で退任 17年途中に監督代行、18年に監督を務めた平石洋介が今季限りで退任。チームを3位に引き上げる功績があったのだが……。
2. 前キャプテンの嶋が退団 球団初のリーグV、日本一に貢献した
嶋基宏が退団し、
ヤクルトへ移籍。「必要とされていない」が理由だった。
3. 10連敗で首位から転落 交流戦の最終戦から歯車が狂い出すと、7月8日までに泥沼の10連敗。首位から一気に4位まで転落した。
4. 今季最終戦で由規が復活登板 今季から育成選手として加わった由規が支配下登録され、地元・仙台で復活登板。ファンの大声援を浴びた。
5. 6.8中日戦でルーキー4人衆見参 辰己涼介、
太田光、
渡邊佳明、
小郷裕哉のルーキー4人衆がそろって先発出場。勝利に貢献する活躍を見せた。
編集部選定投打のMVP
松井裕樹 フル回転68試合登板でうれしい初タイトル ソフトバンク・
森唯斗との競り合いを制し、最多セーブのタイトルを獲得した。「今年は獲らないといけないと思っていた。支えられて1年、やってこられた」。本人のこの言葉には、周囲への感謝の意が込められていた。自身最多となる68試合登板。出番はセーブ機会ばかりではなかったが、指名されれば意気に感じてマウンドに上がった。ただ、その代償は大きく、プレミア12の日本代表に選出されたものの、左ヒジの違和感により辞退。来季の活躍で、東京五輪の代表入りを目指す。
銀次 新主将の背中を見せてチーム唯一の3割打者 今季から胸にキャプテンの証である「C」マークを着け、チームリーダーの自覚を持ってプレーした。バットではチーム唯一にして自身4年ぶりとなる3割超えをマーク。8月15日のソフトバンク戦(楽天生命パーク)では5時間を超える死闘に終止符を打つサヨナラ打を放つなど、五番打者として勝負強さを見せつけた。オフにはFA権を行使せずに残留することを発表。「もっと東北を熱くしたい。それだけ」。来季に見据えるのは、2013年以来7年ぶりとなるリーグ優勝、日本一だ。
E担選定!2019 Most Impressive GAME
序盤大量失点もあきらめず4発で追いつきサヨナラ勝利 
5.15 対日本ハム@楽天生命パーク
4回までに0対8と大量リードを許したが、ナインはあきらめなかった。その裏、ブラッシュの11号満塁弾で4点差に縮める。さらに8回、ブラッシュの12号2ラン、嶋基宏の3号ソロで1点差とすると、9回に浅村栄斗が9号ソロを放ち、計4発でついに同点に追いついた。そして歓喜が訪れたのは延長11回だった。
藤田一也、島内宏明の安打で一死一、三塁のチャンスを作ると、続く
ウィーラーが値千金の右犠飛でサヨナラ勝ち。陰の立役者は三走の藤田だ。右翼手・
大田泰示からの好返球があり、タイミングは微妙だったが、藤田が“神の左手”をホームにねじ込んで生還。グラウンドには歓喜の輪が広がった。この月だけで3度目のサヨナラ勝利と、抜群の勝負強さを見せつけた。