週刊ベースボールONLINE

2020に懸ける

ロッテ・鳥谷敬 引退覚悟、崖っぷちからの生還

 

崖っぷちに立たされている男たちがいる。新天地を求めて巻き返しを期す者、残り少ない現役生活で情熱を燃やし尽くそうとする者、もう一度、自らの力を証明せんとする者──。それぞれが2020年に懸ける思いとは。
※情報は3月15日時点。年齢は2020年の満年齢

入団が決まった翌日の3月11日、ZOZOマリンを訪れて井口監督はじめ新たなチームメートたちにあいさつをした


ゼロからのスタート


「シーズンが始まるまでにどこもなければ、引退です」

 ロッテ入りが決まり、初めてZOZOマリンを訪れた3月11日。メディアに「もし、このまま選択肢がなかったらどうしていたのか」と問われると、鳥谷敬阪神を退団してからの5カ月間、覚悟を持って新天地を探し求めていたことを明かした。

 阪神での16年間で球団歴代最多となる2085安打を放ち、NPB歴代2位の1939試合連続出場も果たした誰もが認める“ミスタータイガース”。だが、2019年は自己最低となる74試合出場、19安打。打率.207にとどまり、球団から事実上の引退勧告を受けた。

 それでも現役に固執した。

「あと何年できるか分からないし、先が長いわけではない。しっかり自分が納得した形で野球人生を終えることができるように、現役続行という選択をした」

 茨の道を覚悟はしていたはずだが、想像以上だったのではないか。時折、水面下での動きが伝えられることはあっても、手を挙げる球団は現れないまま時間だけが過ぎていく。「自分ができることは、(移籍先が)決まったときにしっかり体が動かせるようにということだけ。それだけを考えて準備していた」と、あまりにも長かった5カ月を振り返る。

 最終的に手を差し伸べたのはロッテだった。松本尚樹球団本部長は「本人に会い、戦力として期待している、若手を引っ張ってもらいたいという話もした」と語り、現役時代は自主トレをともにしていた井口資仁監督も「当然、戦力として考えている。内野は全部守ってもらいたい」と期待を口にする。球団は若返りを進めているものの、内野の層が薄いのは事実。井口監督は勝負の就任3年目となる今季を本気で頂点を目指すシーズンに定めており、決して“温情”での獲得ではないだろう。

「たくさんの人たちのおかげで、この瞬間まで待つという選択ができた。阪神の選手やファンには昨年、たくさん勇気づけてもらった。今年の交流戦は甲子園なので、そこでプレーする姿を見せることが、阪神ファンや選手たちへの恩返しになる」と周囲への感謝を示したが、“恩返し”への道程も平坦なものではない。

 春季キャンプに参加することなく、「ピッチャーのボールを見たり打ったりはできていない」という状態であることは事実。開幕延期が追い風になるかもしれないが「開幕に合わせるという立場ではない。今の自分の現状を確認しながらベストの状態に持っていくことを考えている」と足元を見つめる。二軍で調整を続けながら実戦感覚を養っていくが、開幕がいつになろうともプロ野球人生初となる開幕二軍スタートの可能性も高い。

 引退を覚悟していた、まさに崖っぷちからの生還。背番号は慣れ親しんだ「1」から「00」となり、まさにゼロからのスタート。それでも「野球をやる以上はレギュラーを狙っていく。ポジションに関しては、空いているところに入ってチャンスをつかむしか方法がない。どのポジションでも行けるようにしっかり準備したい」と、目をぎらつかせている。

 泥臭く、ゼロからはい上がっていく覚悟もまた、できている。

2019成績:74試合 19安打0本塁打4打点1盗塁 打率.207
通算成績:2169試合 2085安打138本塁打822打点131盗塁 打率.280

入団直後からさっそくロッテ浦和で汗を流し始めた

HOT TOPICS

HOT TOPICS

球界の気になる動きを週刊ベースボール編集部がピックアップ。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング