
7月からスタメンに定着し、打撃覚醒によりチームをけん引した大山(写真中央3番)。巨人には7.5差をつけられたが、2位の原動力になった
3月に
藤浪晋太郎を含む3人の新型コロナウイルス感染者を出してしまった
阪神。チーム全体で厳粛な自粛期間を経て他球団よりも練習期間が少ない中で迎えた6月19日からの開幕3連戦だった。昨年の覇者・巨人に対し開幕戦は7回までは優勢に試合を進めていた。しかし、逆転2ランを浴び敗戦。そこから6月は連敗街道を走ることとなり2勝8敗とスタートダッシュに失敗した。
その雰囲気を一変させたのが、
大山悠輔だった。7月4日の
広島戦(マツダ広島)で途中出場すると9回にソロ本塁打を放つなど勝利に貢献。翌5日からはスタメンに定着すると7月は8本塁打20打点の活躍。新加入の
サンズも7月は得点圏打率.615という驚異的な打撃を見せこの2人でチームをけん引。14勝8敗と大きく勝ち越し、1カ月で借金を返済した。
この2人に引っ張られるように
近本光司も復調。開幕は二番打者としてスタートも打率1割台に低迷し「2年目のジンクス」にはまったと思われた。しかし、昨年ブレークした一番打者に戻り、ヒットを量産し始める。それに伴い盗塁数も増え、31盗塁で2年連続盗塁王に。チーム最多の139安打を放ちチャンスメークをすると大山やサンズがかえすという好循環が生まれた。その大山は本塁打王と打点王を争う活躍。サンズは終盤下降線をたどったが、この2人を軸として最後まで打線をけん引した。
一方、投手陣は開幕から安定感は見せていた。エース・
西勇輝は先発ローテを1年間守り抜き4完投を含む11勝5敗。さらに
秋山拓巳が完全復活。11勝3敗という驚異的な安定感を見せた。
青柳晃洋は7勝止まりだったが、この3人が1年間先発ローテーションを守った。ただ再起を期した藤浪晋太郎や
高橋遥人や
ガンケルなどの5、6番手の活躍がもう少し欲しかった。
リリーフ陣では7月からクローザーになった
スアレスが抜群の安定感で最多セーブ投手(25セーブ)を獲得。セットアッパーの
岩崎優は故障をしながらもチーム最多の22ホールド。ここに
岩貞祐太、藤浪などが試合を作り2位の原動力になった。
しかし、足を引っ張ったのが今年も守備だった。昨季同様3年連続リーグ最多失策。投手陣がいい投球を続けていても失策絡みでチームに流れを持ってこられず敗戦となる試合が多々あったのも事実だ。
それでもチームが2位へと躍進し始めた終盤に厳しい現実が待っていた。またも主力選手に新型コロナウイルス感染者を出してしまい、チームが大きく揺れ、失速した。さらに首位の巨人に対し8勝16敗と惨敗。ほかの4チームには勝ち越していただけに、対巨人戦で五分の戦いができていれば優勝争いにも絡めたシーズンであった。
編集部選定 投打のMVP
スアレス[投手] 代役守護神から真のクローザーへ 契約したときは3番手扱いの助っ人投手だった。だがオフにメカニックを見直したことで、制球力がアップ。結果を残しセットアッパーで開幕を迎えた。7月に入ると絶対的なクローザーだった
藤川球児が調整不良で二軍降格となると、スアレスが抜てき。すると落ち着いた投球で次々とセーブを挙げていった。150キロ台後半の真っすぐとスプリットを低めに集め、安定感抜群。スアレスにつなげば勝てる、という圧巻のシーズンだった。
大山悠輔[野手] 開幕スタメンは逃すも打のリーダーへ成長 打のチームリーダーとして堂々たる成績を残したのが大山悠輔だ。昨季は開幕から四番として100試合以上スタメンで起用されたが、重圧にはね返された。「昨年は構えが小さかった」との反省から打撃フォームにゆとりを持たせ、投手の傾向を研究し、1球目からフルスイングをしにいった結果、リーグ2位タイの28本塁打でリーグ3位の85打点と主軸として大きく成長した。来季は野手キャプテンを務め、さらなる飛躍を目指す。
2020タイガース 5大TOPICS
1.火の玉ストレート、藤川球児引退 日米通算245セーブで05年のリーグ優勝に貢献した藤川球児が9月1日に現役引退会見。11月10日に引退セレモニー。
2.開幕前と10月に選手がコロナ感染 3月に藤浪晋太郎を含む3人、10月には
糸原健斗など7人が新型コロナウイルスに感染してしまった。
3.揚塩球団社長が辞任 次々と新型コロナに関する騒動がチーム内に起こった責任を取る形で揚塩健治球団社長が辞任を表明した。
4.ベテラン選手たちと来季契約を結ばず 若返りを図るチームの中で、ベテランの
福留孝介、
能見篤史、
上本博紀に来季の契約を結ばないことを通達した。
5.近本が新人から2年連続30盗塁 プロ1年目から2年以上続けて30盗塁は、セ・リーグでは1952〜53年
佐藤孝夫(国鉄)に次いで67年ぶり2人目となった。
T坦選定! 2020 MostImpressive GAME
11.4対ヤクルト@甲子園 藤浪が先発で好投し四番の大山がサヨナラ 94年生まれの選手たちが躍動した。先発は今季復調を見せ始めた藤浪晋太郎。150キロ台後半の真っすぐを初回から投げ込み、6回を4安打無失点の好投を見せると、先制点はヒットで出塁した
木浪聖也を、一番の近本光司が中前にヒットを放ちかえした。その後2対2と同点にされるも、最後は真打ちの登場。四番の大山悠輔が9回裏一死後、ヤクルト・梅野の147キロの外角真っすぐを強振。打球は左中間スタンドに飛び込むサヨナラ本塁打となった。「試合を決める一打というところに価値があって、意味がある」と矢野耀大監督も絶賛。終盤で藤浪、木浪、近本、大山の同級生が刺激し合い、終盤戦で来季へ向けいい形で試合を勝利した。