
70年阪神入団の上田
曲がらないカーブ?
今回は次朗(
上田次朗)の話からいきましょうか。東海大から昭和45年(1970年)、村山(
村山実)さんの監督1年目に入ったサイドスローの投手で、体に力があり、プロに入ったときからバランスの良いフォームをしていました。ただ、最初は、球種が真っすぐと横のカーブくらいしかなかった。球速がある右のサイドは、カーブがあれば右バッターは何とかなるんですが、どうしても左打者にはボールの軌道が見られやすく苦しいところがあります。それもあって、村山さんの命令で、落ちる球、要はシンカーを投げろとなったんですが、リストを使った投げ方をしていたのと、指が短いこともあって、なかなか落ちませんでした。
そこで僕が考えたのが、曲がらないカーブです。左バッターの外に投げるんですけど、ボール自体はカーブの回転をしながらも曲がらない。バッターはスピードと回転を見て、入ってくるカーブだと思って振ろうとしたところで「あれ?」となって手を止め、見逃しのストライクになるんです。投げ方にコツがありまして、ふつうはフォロースルーで手を体のほうに回していく動きがあるじゃないですか。それをせんで、正面で止めるんですよ。それでリリースの瞬間、手の甲をベースの外角に合わすようにしながらひねって投げる。そうすると、回転だけして曲がらない魔球になるわけです。ちなみに、詳しい理屈は知らんですよ。そういうふうに投げるピッチャーのカーブが曲がらんかったのを覚えていただけです。
要はバッターの体に染みついた習性を使う球ですが・・・
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