プロ10年目の今季、首位争いを演じている楽天において、四番打者として確かな存在感を放っている。また、試合中に発する独特なコメントでも注目を集めた。パ・リーグの打点王レースでトップ争いを演じる左打者が、自らの現状と目指すべき場所を明かす。 取材・構成=阿部ちはる 写真=井沢雄一郎 
二塁打を放ち決めポーズ。ここまで13二塁打はリーグ5位の数字だ
考え過ぎず甘い球を狙う
楽天の四番を務めているのは右の大砲・浅村栄斗でも、新助っ人・ディクソンでもない。身長180センチ、体重75キロと決して大きくはないが、石井一久監督が「信頼しているから、そこに置いている」と語る島内宏明だ。無走者の状況では1割台の打率が、走者がいる場面になると3割まで跳ね上がる。得点圏打率は.391で、満塁機になると.429。相手バッテリーからは脅威となっているはずだ。打ちまくりたい、チームを引っ張りたいというギラギラしたタイプではないが、チームのための打撃がしたいと考える。悩みは打てないことではなく、チームに貢献できないこと。ギラギラしていなくとも、島内の頭の中は野球のことでいっぱいだ(成績は5月27日現在)。 ――今年は調子の波が少ないように感じますが、自身ではここまでの成績をどのように感じていますか。
島内 バッティング練習などをしていると、正直、浮き沈みは結構あるんです。ただ、その幅が去年に比べて少ないかなと。去年は体が結構痛くて、スイング自体もしっかりできなかったんです。上半身だけでスイングしてしまったり、変なスイングをしていたので、そういうのも影響していたとは思うのですが。
――昨年は眠れないことが多かったとも話していました。
島内 今年はまだ眠れていますね。今は痛いところもあまりないので、フレッシュな状態でやれていると思います。そこが大きいですね。
――今年は4月30日から四番に入りました。「一番やりにくい打順」という話もされていますが、そのやりにくさをどういったところに感じていますか。
島内 僕の四番像としてはホームランを打てる人とか、打球を飛ばせる人が四番を打つべきだと思っているんです。チームにはもっと飛ばせる人がたくさんいるので、その中で自分が、というのが嫌なんですよね。今はチーム事情で四番を打たせていただいているのですが、調子のいい人がどんどん四番を打てればいいのかなとは思いますね。
――「チャンスの場面ではホームランを打たなくては」や、「四番だから決めなきゃ」というプレッシャーを感じてしまうことは。
島内 掛かっているかもしれないですね。そこはあまり感じないようにはしていますけど……。ただ・・・
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