各チームとも優勝を目指すためには充実した布陣が必要。もちろん春季キャンプでは熾烈(しれつ)なポジション争いが繰り広げられるはず。ここでは特に注目される6つの勝負を紹介し、熱い心で2月1日を迎えよう。 写真=BBM 【勝負1】オリックス・優勝チームのクローザー争い
富山凌雅×平野佳寿 
富山凌雅[左]、平野佳寿[右]
大ベテランの意地と強心臓若手 チームを進化させる思いは24歳左腕・富山凌雅が自主トレで語った意気込みが物語る。「いつまでもベテランに頼ってばかりはいられない」。今年38歳を迎える抑えの平野佳寿からポジション奪取の思いを口にした左腕は、昨季チームトップの51試合登板とタフさも武器。「ピンチのほうが楽しめる」と強心臓も持つが、ライバルはベテランだけではない。ドライチ・
椋木蓮も“勝ち継投候補”に名が挙がる可能性は十分にある。「若い子がどんどん出てくるのはいいこと。でも僕も簡単には負けません」は、昨年2月に
オリックス復帰が決まったあとの平野佳の言葉だ。昨季、チーム躍進は抑えが固定された交流戦から始まったものだけに、今季を占うクローザー争いと言っても過言ではない。ベテランか中堅か、はたまた新人か――。9回のマウンドをかけたアピール合戦はリーグ連覇へ向けた内なる戦いだ。
【勝負2】楽天・戦力最強化中の一番・中堅争い
辰己涼介×西川遥輝 
辰己涼介[左]、西川遥輝[右]
昨季の盗塁王とGG賞選手で競う道 チームにとっては大きな戦力であり、既存の外野陣にとっては大きな脅威が出現した。
日本ハムを自由契約となり、新たに
楽天と契約をしたのが昨季の盗塁王・西川遥輝。「もしかしたら野球ができないんじゃないかとネガティブな考えにもなった」と明かす。日本ハムで築いた実績をひとまずリセットし、新天地であらためて「一番・中堅」の座をターゲットにする。
迎え撃つのは現状の正中堅手・辰己涼介が筆頭候補になるが、その座を約束されたわけではない。昨季、初めてゴールデン・グラブ賞に輝いたが「まだ守備でしか貢献できていないので、打撃でチームを勝利に導けるように」と強い決意を表明する。
石井一久GM兼任監督は「やみくもに世代交代させるつもりはない」と、まずは競争が第一であることを強調。生え抜きも移籍組も関係ない激しい定位置争いが、沖縄・金武町で火ぶたを切る。
【勝負3】ソフトバンク・常勝軍団再建を期すホットコーナー争い
野村大樹×リチャード×松田宣浩 
野村大樹[左]、リチャード[中]、松田宣浩[右]
どこよりも、誰よりも熱く! ついに世代交代のとき来たる!? 長年正三塁手に君臨していた松田宣浩だが、打撃不振も相まって昨季のスタメン出場は102試合。シーズン終盤は、一軍デビューを飾ったリチャードの勢いに押される場面も目立った。そのリチャードも一軍で過ごした2カ月で7本塁打と持ち前のパワーは見せたが、打率自体は.181。レギュラーに座るには到底物足りないことは、本人が一番分かっている。この2人の間に割って入ってくるであろう4年目の野村大樹もいる。「チャンスに強いのは自分の売り。自分の出せるものを出せば勝負できるのでは」と、強みを生かして2人に真っ向勝負を挑む。松田は残り16打点と迫る通算1000打点、残り189本の通算2000安打のためにも、このまま終わるわけにはいかず、「まだまだ元気」「もっと伸びる」と自信をのぞかせる。ホットコーナーを巡る争いは文字どおり“超ホット”だ。
【勝負4】西武・巻き返しを図るチームの外野手争い
岸潤一郎×若林楽人 
岸潤一郎[左]、若林楽人[右]
若手がひしめくも足で一歩リードか 「みんな横一線にいる」と言うのは
辻発彦監督だ。新外国人で外野手の
オグレディ、内外野を守れる
ジャンセンを獲得し、辻監督は「助っ人が外野の一角を取ってくれないと困る」と話すが新型コロナ禍で来日時期は不透明。若手、中堅の台頭は必須だ。第一候補は若林楽人か。1年目の昨季は5月下旬に左ヒザ前十字じん帯損傷で離脱するまで44試合で20盗塁。圧倒的なスピードを誇る背番号35に指揮官は一番定着も期待する。問題は患部の回復具合だけだ。3年目の岸潤一郎も意欲を燃やす。昨季は9本塁打をマークしたが、本人は「二番にあこがれがある」。打率.220に終わった打撃の確実性を向上させたいが、果たして一番・若林、二番・岸が開幕に名を連ねるか。ほかに候補は
愛斗、
川越誠司、
金子侑司、さらに内野手の
呉念庭も外野を守れ、ベテランの
栗山巧もいる。激しい競争がキャンプで幕を開ける。
【勝負5】巨人・優勝のカギを握る実力者の争い
中島宏之×中田翔 
中島宏之[左]、中田翔[右]
一発の男と勝負強さの男のどっちだ!? V奪回を狙うチームで確たるポジションが約束されているのは遊撃・
坂本勇人と三塁・
岡本和真のみ。中でも激戦区の一つとなるのが昨季は固定できなかった一塁だ。本来の姿に戻ることができれば最右翼となるのは中田翔か。昨季途中で電撃加入したものの状態が上がらず二度の二軍落ちも経験したが、今オフの自主トレでは復活の手応えをつかんでいるようで「今は自信しかない」と“中田節”も復活。このまま黙って終わるつもりはない。一方の中島は得点圏打率.385と勝負強い打撃でチームに貢献。何より通算2000安打の大記録まであと「101」に迫っており、控えに甘んじるつもりはない。ここに新外国人のG.
ポランコの加入で外野陣から弾き出される可能性のあるZ.
ウィーラーも加わってくれば、最激戦区となることは必至。ベテランたちの目の色が変わるキャンプでの熾烈な争いから目が離せない。
【勝負6】DeNA・守備の要、遊撃手の三つ巴の争い
森敬斗×柴田竜拓×大和 
森敬斗[左]、柴田竜拓[中]、大和[右]
強い気持ちでぶつかり合う戦い レギュラー奪取に鼻息の荒い若手に、ベテランの意地がぶつかる。昨季、遊撃のポジションで最多80試合に出場したのは34歳の大和。しかし、中盤以降は森敬斗がチャンスを与えられ、持ち前の俊足、強肩で攻守にわたってアピールを続けた。今季、3年目の森は「ポジションを取るという強い気持ちを持って。大和さんは超えなければならない壁」と意気込む。二塁での起用も多かった大和は「ポジションへのこだわりはない。チームに貢献できれば」と冷静だが、二塁を守る
牧秀悟の存在もあり、遊撃への意識が低いわけがない。名手・柴田竜拓の存在も忘れてはならない。昨季は試合中に左肩脱臼、左手裂傷と2度の登録抹消を味わった。「ケガを言い訳にしていた面もあった」と捲土重来を期す思いは2人以上だ。宜野湾では第1クールから三つ巴のポジション争いが繰り広げられそうだ。