週刊ベースボールONLINE

球団レポート

DeNA・昨季の屈辱を晴らすため投手陣でさらなる“反撃”を/球団レポート

 

開幕当初は、新型コロナ禍やエースの不在など、想定外の事態に見舞われた。それでも巻き返せたのは、昨年味わった悔しさがあったからこそ。終盤戦の今こそ、投手陣の再度の踏ん張りが求められている。
※成績は9月11日現在。成績部分の()内数字はリーグ順位

【セ・リーグ2位】
64勝57敗2分 勝率.529
437得点(5)、466失点(3)、打率.252(3)、99本塁打(3)
46盗塁(5)、54失策(1)、防御率3.48(3)

悔しさが“反撃”の原点


 2021年10月26日。横浜スタジアムでヤクルトに敗れた。ただ敗れたのではない。目の前で高津臣吾監督の胴上げを許し、チームも6年ぶりの最下位が決定したのだ。「悔しい気持ちでいっぱい。悔しさがあふれ出てくる」と三浦大輔監督は声を絞り出した。同時に浮かんだという言葉が「反撃」。それをそのまま、今季のチームスローガン「横浜反撃」に反映させた。「全員で横浜反撃の年にしないといけない」。就任2年目。はい上がるのみだった。ところが迎えた今季は開幕から3連敗。昨季も8戦勝ちなしの6連敗とスタートダッシュに失敗しており、既視感のある展開だった。しかし今年のDeNAはそこからが違った。開幕4試合目、3月29日の中日戦(バンテリン)で今季初勝利。「みんなでもぎ取った勝利だと思う。こういうことを積み重ねていけば、チームとしてもっともっと強くなっていける」と指揮官もチームへの手応えを隠さなかった。三浦監督がこう答えることができたのには理由があった。開幕当初の先発ローテーションに、重要なピースの復帰を確信していたからだ。

 開幕投手の最有力候補だった今永昇太が、左前腕の炎症(のちに肉離れと判明)のため出遅れていた。当時の今永は、悔しさを押し殺し「やらなきゃいけない。常に、チームを勝たせることを考えないといけない」と静かに燃えていた。ケガを完治させ、5月6日の広島戦(マツダ広島)でエースが一軍復帰。初登板は6回3失点で勝ち負けつかず。2試合目となった同17日の中日戦(バンテリン)は9回4安打、13奪三振で完封し今季初勝利。それでも「たかだか1勝しただけ」と見据えるものはまだ先だった。4月を終えて10勝15敗のチームは、5月に11勝11敗。少しずつ光明が見え始めた。すると、6月7日の日本ハム戦(札幌ドーム)で、その左腕エースが快挙を成し遂げることになる。

 史上85人目、球団52年ぶり、12年に創設されたDeNAとしては初のノーヒットノーラン。「最高の投球をしてくれた。横浜の歴史に名を残しました」と三浦監督もうなる快投が、間違いなく「横浜反撃」の起点になった。6月終了時点で32勝38敗の借金6。7月は10勝7敗2分けで初の月間勝ち越しを決め、8月はさらに18勝6敗と大躍進。4年ぶりの8連勝と勢いに乗った。

 徐々に輝き出した先発陣の中で「僕には特別速い球や、驚くような変化球があるわけではないので」と謙虚な姿勢で前進していたのが大貫晋一だ。今永が離脱していた3・4月は先発4試合で勝利こそなかったものの、そこからコツコツ勝ち星を積み重ねていった。8月19日の広島戦(横浜)ではチーム一番乗り、自身2年ぶりとなる2ケタ勝利をクリア。右の柱として欠かすことができない存在にまで成長した。

 今永、大貫に続き、昨季開幕投手の濱口遥大も大きな存在感を発揮している。5月26日から先発ローテーションを守り、8月31日の中日戦(横浜)では7回2失点で7勝目。8月は、5戦5勝で月間MVPを受賞した今永に負けじと、先発5試合で3勝0敗の好成績。チームも2人が先発した8月の火、水曜日は10戦全勝だった。9月7日の巨人戦(東京ドーム)こそ、4回途中を自己ワーストの11失点と炎上したが「取り返すことができるように調整したい」と巻き返しを期す。リリーフから先発に再転向となった石田健大も5勝を挙げており、来日2年目のロメロも好不調の波は激しいが5勝。今季の先発陣が挙げた勝利数は41で、昨季34勝を上回る。6勝を挙げた大貫が最多だった個人勝利も、すでに3投手が上回っている。


マウンドで帰りを待つ


 リリーフ陣も、シーズンを通して安定感を発揮しているが、中でも山崎康晃の達成した金字塔は忘れてはならない。8月24日の阪神戦(京セラドーム)で今季30セーブ目をマークし、史上8人目、最年少(29歳10カ月)で通算200セーブを達成した。ここ2年でわずか7セーブと数字を伸ばせていなかったが一気の巻き返しに成功した。ともに33ホールドとフル回転しているエスコバー、伊勢大夢から勝利のバトンを渡され、8月以降は16試合連続無失点と無双状態に突入している。

山崎[写真]は史上最年少での200セーブに到達、再起を誓う三嶋の帰るマウンドを守り続ける


 その山崎が不調だった昨年、クローザーとして踏ん張ってきたのは三嶋一輝だった。今季は13試合の登板にとどまりファームでの調整が続き、8月30日には胸椎黄色じん帯骨化切除術を受けた。今季中の復帰は厳しい状況に「三嶋さんが一日でも早く復帰できるように僕たちも一生懸命頑張りたい」と山崎もエールを送った。国指定の難病と闘う先輩右腕の帰りを待つためにも、完全復活した守護神のモチベーションは高い。

三嶋一輝


 チームは、8月下旬の首位ヤクルトとの直接対決で3連敗を喫し、厳しい現実を味わった。自信をつけ始めていた投手陣が、令和初の三冠王を目指す四番・村上宗隆に3試合で11打数9安打、4本塁打、9打点と打ち込まれた。その際、三浦監督は再び味わった屈辱に懸命に言葉をつないでいた。「痛い、悔しい3連敗ですけど、しっかり受け止めて……」。それでも指揮官はチームの意志を代弁するように「巻き返せるように。心を一つにして、反撃するしかない」と決して後ろを振りかえらずに戦いを続けていく構えだ。

 シーズンは最終盤に突入したが、現在もDeNAは、セ・リーグ2位の位置につけている。残り試合が全チーム20を切る中、今一度“横浜反撃”を旗印に、まずは3年ぶりのクライマックスシリーズ進出を確定させ、絶対にヤクルトに食らいつく。
HOT TOPICS

HOT TOPICS

球界の気になる動きを週刊ベースボール編集部がピックアップ。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング