ポスティングシステムを使いレッドソックスと5年9000万ドル[約123億3000万円]で契約を結んだ、オリックスの吉田正尚。現地時間12月15日、本拠地のフェンウェイ・パークで入団会見を行った。「一番・左翼」が確定的なスラッガーによる会見は、終始、笑顔が絶えなかった。 
数々の歴史を生んできたフェンウェイ・パークでの会見に臨んだ吉田。伝統球団への移籍で笑顔を見せたが、ここからは「一番・左翼」としてチーム再建の中核を担う[写真=Getty Images]
日本人選手がメジャー移籍を果たし、会見を行うときに恒例になっている英語でのスピーチ。吉田正尚は緊張で英語につまりながらも最後までやり切ったあとに笑顔を見せた。
「ハーイ。I am……お会いできて光栄です。私は29歳で日本ではオリックス・バファローズで7年プレーしてきました。英語は話せないので緊張しています。英語を学んで、娘より早く話せるようになりたいと思っています。レッドソックス・ネーションのことを学び、できる限り自分の最善を尽くしたいと思います」
しっかりとボストン記者の心はつかんだ。さらにこれまで8人の日本人選手がレッドソックスでプレーしたが、何かアドバイスを受けたかという質問に「松坂(
松坂大輔)さんからツイッターで寒いのでダウンを持っていくように」という受け答えをしたことで、さらに彼らの心を惹きつけた。
ファーストインプレッションは合格点と言っていいだろう。人間性で心をつかんだあとは、2月からのスプリング・トレーニングでその実力を見せる番だ。現在のところ、「一番・左翼」が濃厚だという。ただ、2023年のレッドソックスは苦戦が予想される。
チームのスター選手で、攻守の要でもあった正遊撃手のザンダー・ボガーツがパドレスと11年の契約をしチームを去った。さらにはDHのJ・Dマルチネスも移籍。パドレスからトレード加入していた左の大砲、エリック・ホズマーをDFA(自由契約)とした。これで吉田の打撃が大きな注目を集めることになりそうだ。
18年のドラフト1位、右投げ左打ちの一塁手、東京五輪アメリカ代表でもあった22歳の有望株、トリストン・カサスを起用していく考えがあり、チーム変革を行っていく。その中で、日本で実績を残してきた男が、いかに早くメジャーの投手に慣れ、打ち崩していくか。
フェンウェイ・パークの左翼で、守備に負担がそこまでかからない分だけ、打撃に集中することができるのが利点。22年は一番打者の出塁率.295と30球団中27位と低かった。そこを日本で.447の男が埋めることになる。
「自分の長所は打撃。今までもチームを勝利に導くことをテーマにプレーしてきた。引き続き、そういう活躍ができればいいと思う。ワールド・シリーズチャンピオンの一員になれるよう、精いっぱい頑張りたい」
23年のチームの顔はオレだと言える働きを見せていくつもりだ。