若手のレベルを引き上げるために実戦経験を積ませることは欠かせない。6月27日、西武は都内で会見を開き、今年からNPB球団で初めてジャパンウインターリーグに参戦することを表明。11月末から約1カ月間にわたって開催される同リーグとは一体、どういったものなのか。その詳細をリポートする。 取材・文=中島大輔 
昨年行われたジャパンウインターリーグ閉会式の模様[写真提供=JWL]
野球界のハブになれる
NPBやMLBがシーズンオフの冬、中南米など温暖の地で行われるのがウインター・リーグだ。ドミニカ共和国やベネズエラを筆頭に冬のプロ野球は盛り上がりを見せている。
参戦するのは母国のファンに勇姿を見せたいメジャー・リーガーやアピールして翌年の契約を勝ち取りたい選手、育成目的で派遣される若手など多岐にわたる。サマー・リーグとは異なる特色が、ウインター・リーグを盛り上げる要素の一つと言えるだろう。中にはプロに限らず、アマチュアのウインター・リーグもある。
2022年、日本ではジャパンウインターリーグ(JWL)が誕生した。沖縄を舞台に11月下旬から約1カ月開催され、昨年は101選手がプレーした。独立リーグや社会人、海外選手を中心とする中、3年目の今年節目を迎える。NPB球団で初となる西武の参戦が決まったのだ。
「若手選手に経験を積ませることが一番の理由。ライオンズ参戦が話題となり、JWLや野球界の発展につながればいい」
6月27日、都内で会見に出席した飯田光男球団本部長はそう話した。もちろん若手に実戦の機会を設けることが最大の目的だが、同時に西武は野球普及振興に力を入れており、JWLが球界の発展につながってほしいという願いも込められている。
「JWLの特徴は“色味”がないこと。つまり野球界のハブになれる存在だと思っています」
飯田球団本部長の隣でそう語ったのが、JWLを立ち上げた鷲崎一誠氏だ。同氏は慶應大学野球部時代に出場機会をなかなか得られず、プレーする場を求めて米国カリフォルニアのウインター・リーグに参戦した経験がある。ファーストリテイリングに入社後、30歳になったら起業したいという夢を実現する意味もあり、株式会社ジャパンリーグを設立した。球界でプレー機会に恵まれない選手に活躍の場を提供したいという課題解決型のビジネスだ。
当初、自身と同様に完全燃焼し切れない学生にチャンスを創出したいというのがJWLの目論見だった。だが、独立リーガーと学生を一緒にプレーさせるには「プロアマの壁」が立ちはだかる。加えて11月からという開催時期は就職を控えた学生にとって不都合なこともあり、最初の狙いとは異なる形でスタートした。
半面、予期せぬ者からエントリーが相次いだ。トヨタやホンダなどの社会人選手だ。基本的に負けたら終わりのトーナメント戦が中心の社会人野球では、経験の少ない若手はチャンスに恵まれにくい。そこでJWLに派遣される選手がいたのだ。
大阪経済大学からホンダに進んだ内野手の三浦良裕はその一人だ。JWLで実戦経験を積み・・・
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