アメリカの報道で飛び出した巨人・菅野智之のメジャー挑戦。本人もそれを肯定し、オフにメジャー移籍を目指すことが明らかになった。 ![](https://cdn.findfriends.jp/img.sp.baseball/show_img.php?id=41666&contents_id=p_page_002)
優勝を決めた9月28日の広島戦にも先発。今季は15勝を挙げ、先発陣をけん引した[写真=井沢雄一郎]
「やっぱり向こうでプレーするという気持ちでいる」
10月5日、巨人・菅野智之がメジャー・リーグ挑戦を表明した。アメリカのスポーツ専門局「ESPN」が4日、菅野が今オフ、海外フリーエージェント(FA)権を行使してメジャー移籍を目指す意向だと報じていた。それを受け、菅野は東京ドームでの練習後、報道陣に対応した。
「ジャイアンツでプレーすることも、もちろん素晴らしいことではあります。だけど、やっぱり2020年に行けなかったとき、そういうのはずっと僕の中であったので、そういう決断をしました」
20年に菅野は14勝、勝率.875でタイトルを獲得。チームのリーグ連覇に貢献したが、オフに巨人生え抜き選手では初となるポスティングシステムを申請してメジャー移籍を目論んだ。菅野に対して6球団が正式にオファー。1月1日には自ら渡米して代理人と合流、複数球団と交渉を重ねたが、「いろんな話をする中で、100%、自分で納得できるものではなかったので」と合意せず。期限2分前に最終候補として残った球団のGMへ、巨人残留を伝えた。
当時はコロナ禍の影響で各球団の財政は厳しく、市場の動きは鈍かった。同じ投手では
トレバー・バウアー(当時レッズFA)や
田中将大(当時
ヤンキースFA)らの大物FA選手の去就も未定。ポスティング制度で定められた30日間の交渉期間はあまりにも短かった。
その後、菅野はケガなどの影響もあり21年は6勝、22年は10勝と本領を発揮できず。昨年は4勝8敗、防御率3.36、投球回数もプロ入り最少の77回2/3にとどまり、
阿部慎之助新監督が就任した今季は先発の座が確約されていなかった。だが春季キャンプで順調な仕上がりを見せ、オープン戦で好結果を残す。先発ローテーションの6枠目を勝ち取った。
直球の平均球速は140キロ台後半と全盛期より落ちているがカットボール、スライダー、フォーク、ツーシーム、カーブを抜群の制球力で操る。今季24試合全登板でバッテリーを組んだ
小林誠司の存在も大きく、絶妙の配球で勝ち星を重ねた。リーグトップの15勝を挙げ、4年ぶりの優勝に貢献。MVP級の活躍を見せた。
吉村禎章編成本部長は「シーズンがすべて終わったあとに話し合いの場を持ちたい。彼の意思を尊重してあげたい。彼のジャイアンツに対する貢献度は私をはじめとして、球団として理解しているつもり」とコメント。メジャー移籍を後押しする見解を示した。ただ、もちろん菅野が現在最もフォーカスしているのはポストシーズンの戦いだ。
「チームにとって大事な時期に(報道が出て)申し訳ない。今はクライマックス(シリーズ)でしっかり勝ち上がり、チームが日本一になることしか考えていません」
2012年以来、12年ぶりの日本シリーズ制覇を置き土産に、メジャーへ羽ばたいていく。