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2024.10.12&13 セ・リーグ CSファーストステージREVIEW

<阪神×DeNA>一気呵成に攻め立てDeNAが連勝で突破!/CSファーストステージREVIEW

 

いよいよ始まった日本一を懸けた短期決戦。セ・リーグのCSファーストステージは3位の強力打線のDeNAが2位・阪神の強力投手陣を打ち崩し、2連勝で突破した。パ・リーグは3位のロッテが第1戦を奪い取ったが、第2戦で2位の日本ハムがサヨナラ勝ちで意地を見せてタイに持ち込んだ。まさに死闘が繰り広げられた。
写真=佐藤真一、高原由佳

強力打線でリーグ2位の阪神を圧倒し2連勝でCSファーストステージ突破を決め喜ぶDeNAナイン


 レギュラーシーズン11勝13敗(1分け)と、阪神に対して負け越していたDeNAが敵地・甲子園で自慢の打線を爆発させた。阪神の強力投手陣に対し、2戦連続の2ケタ安打を放っての快勝。開幕前日、記者会見で三浦大輔監督が「チーム一丸となって戦っていきます」と話したとおり、アクシデントもあったが動じずに勝利をもぎ取った。

 第1戦は新旧主将がチームを乗せた。DeNA・東克樹、阪神・才木浩人、ともにレギュラーシーズン13勝を挙げたエースが先発。両投手ともに走者こそ出すものの得点は許さず迎えた3回に試合が動いた。戦前から「才木浩人投手を打って勝たないと次はない」と語っていた先頭の現主将・牧秀悟が、中前打で出塁すると、続く昨年までの主将・佐野恵太は二塁打で二、三塁と好機を拡大。一死後、コンタクト能力の高い宮崎敏郎に対し勝負どころと見た阪神・岡田彰布監督は申告敬遠で歩かせ、満塁で六番・桑原将志との対決を選択した。勝負は中間守備の内野陣の前に、ボテボテの遊ゴロが飛び、併殺崩れでDeNAが1点を先制する。

 貴重な援護をもらった東は粘りの投球で3回まで無失点。しかし、4回の打席で安打を放ったところで足の違和感を訴え、一時治療のためベンチへ。その後、グラウンドに戻り4回も続投して抑えたが、5回に入るタイミングで三浦大輔監督が交代を告げた。「左ハム(ストリング)の違和感で、次の回は行きましたが、無理はさせないように」との判断だった。

 エースの降板という緊急事態も、5回は山崎康晃、6回は佐々木千隼がパーフェクトリリーフを見せ、流れを呼び込む。

 すると7回一死からまたも、牧&佐野の連打で一死一、三塁とし、代わった石井大智の逆球になった外角高めの直球をT.オースティンがたたいた。これが右中間への2点適時二塁打となり待望の追加点。ここまで2三振を喫していた主砲は「前の打者が良いヒットでつないでくれたおかげ」と感謝した。

 阪神は得点機こそつくるも無得点で迎えた9回、DeNAの守護神・森原康平から八番・木浪聖也が意地の適時左前打で1点を返す。なおも二死一、三塁と一発出れば逆転サヨナラの場面だったが、最後は代打・原口文仁が左飛に倒れて勝負あり。3対1で勝利したDeNAがCSファイナルへ王手をかけた。三浦監督は先勝に喜びの表情を見せながらも「明日は明日」と兜(かぶと)の緒を締め直していた。

豪打爆発で圧倒


 あとがなくなった岡田監督は、第2戦の先発に今季DeNAとの対戦がない高橋遥人を起用。一方の三浦監督は対阪神戦防御率2.10と抜群の安定感を見せていたアンドレ・ジャクソンにマウンドを託した。

 試合は序盤から大きく動く。1回裏二死から阪神の三番・森下翔太がインローの直球をさばき、左翼ポール際へ飛び込む弾丸ライナーの先制ソロ本塁打を放った。主導権は阪神が握るかに思われた。

 しかし、直後の2回、高橋が連打で無死満塁のピンチを招くと、戸柱恭孝に2球目の外角高めの直球をはじき返され、右中間へ走者一掃の逆転適時二塁打を喫した。「ファーストストライクから行こうと決めていた」と語り、常に誰よりも早くグラウンドに出て、準備を欠かさずにいた男の一打。DeNA打線が乗らないはずがない。二死三塁となり、牧が適時打を放ち4点目、天秤(てんびん)は大きく傾く。

 岡田監督も流れを渡すまいと3回から、梅野隆太郎から坂本誠志郎に捕手をスイッチする勝負手に出て、拮抗(きっこう)状態に持ち込んだ。しかし、打線がジャクソンの速球とスライダーに苦しみ要所で三振を喫して追加点を挙げられず。6回までに9三振を献上した。

 すると7回、6回から回またぎの阪神・村上頌樹に対し、CSから一軍に合流した代打のM.フォードが右翼へ豪快なソロ本塁打を放ち追加点を挙げる。ファーム日本選手権でも2本塁打を放ち「ここ最近、状態は良かった」と語る助っ人の一打を皮切りに、再びDeNAが猛攻。梶原昂希、牧が連打でつなぎ、代わった富田蓮の投じた高めのカットボールを好調の佐野が一閃(いっせん)。右翼席への一発で3点を加えた。さらに戸柱の5打点目となる2点適時二塁打が飛び出し一挙6得点。

主将・牧が2戦計10打席中8度出塁し、打線の火付け役となった


 阪神も7回、9回に1点ずつ返したが開いた点差はあまりに大きく、結局15安打10得点を奪ったDeNAが連勝でファイナルステージ進出の権利を手にした。

 これにより、阪神は今季限りでの退任が決まっている岡田監督が指揮するラストゲームに。試合後には別れを惜しむスタンドの阪神ファンから岡田監督へ「ヒッティングマーチ」が送られていた。

 一方、チームとしては7年ぶり、指揮官としては初のファイナルステージに駒を進めた三浦監督は「チーム全員が集中している」と手応えを口にした。

三浦監督も感情むき出しに攻め続け、7年ぶりのCSファイナル進出を決めた


 ただ、第1戦で負傷した東は登録を抹消されファイナルステージでは登板できない。さらに、第2戦の7回攻撃時、宮崎が三ゴロを打った際に右足を負傷。一人で歩くことができず、肩を借りながらグラウンドを離れている(その後、右下肢のつりと発表)。場合によってはエースと主軸の両輪を失った状態で、東京ドームで待つ巨人とのCSファイナルを戦う可能性もある。当然、厳しい戦いが想定されるが、短期決戦での爆発力は十分示した。ポストシーズンの台風の目となって、悲願の日本一を目指す。

阪神・投打でリズムつくれず……



 シーズン序盤の打線が機能しない時期に戻ったかのような2試合だった。特に得点源と言われる一、二番が出塁できなかった。三番の森下翔太の状態がよかっただけに……。昨年の日本一のキーワードとなった「四球」が各打者への足かせになった部分もある。一、二番の近本光司、中野拓夢が初球を見送ることが多い中で、DeNAの投手陣はテンポよくストライクを取りにいった。

 結局、上位2人で2試合計2安打に終わった。また、エースの才木浩人にしても第1戦の初回に二死満塁のピンチを招くなど試合のリズムがつくれなかったことは大きかった。自分たちのリズムを一、二番とエースでつくれなかったことが下克上を許す要因となった。

第1戦 ROUND 1 RESULT
■10月12日(土)
◆開始14時01分(3時間19分)◆観衆4万2642人

【勝】山崎康晃[1勝]【S】森原康平[1S]
【敗】才木浩人[1敗]


第2戦 ROUND 2 RESULT
■10月13日(日)
◆開始14時01分(3時間35分)◆観衆4万2646人

【勝】A.ジャクソン[1勝]
【敗】高橋遥人[1敗]
【本】[DB]M.フォード1号(7回ソロ)、佐野恵太1号(7回3ラン)[T]森下翔太1号(1回ソロ)、原口文仁1号(9回ソロ)

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