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2024.10.12&13 パ・リーグ CSファーストステージREVIEW

<日本ハム×ロッテ>日本ハムが意地を見せ逆王手/CSファーストステージREVIEW

 

いよいよ始まった日本一を懸けた短期決戦。セ・リーグのCSファーストステージは3位の強力打線のDeNAが2位・阪神の強力投手陣を打ち崩し、2連勝で突破した。パ・リーグは3位のロッテが第1戦を奪い取ったが、第2戦で2位の日本ハムがサヨナラ勝ちで意地を見せてタイに持ち込んだ。まさに死闘が繰り広げられた。
写真=佐藤真一、高原由佳
※10月14日(月)日本ハムが勝利し、CSファイナルステージへの進出を決めた

M佐々木朗希が8回0封


CS初戦を8回無失点に抑えてチームを勝利に導いた佐々木はさらにステップアップした


 ロッテがポストシーズン開幕投手として第1戦の先発マウンドに送り出したのは、今季が自身初の2ケタ勝利となる10勝を挙げた佐々木朗希だった。チーム最多の12勝を挙げ、レギュラーシーズンでは2年連続開幕投手を務めた小島和哉ではなかった。

 前日の監督会見で日本ハム・加藤貴之、ロッテ・佐々木の予告先発が発表されたとき、日本ハム・新庄剛志監督は「小島君じゃないんですね。3日間ずっと小島君を想定した練習をしてきました」と驚き、ロッテ・吉井理人監督は「佐々木朗希にはこれまで開幕投手とか何かの初戦とか、そういうのを任せたことはなかったので、そろそろ責任を与えるのもいいかなと思った」と起用の理由を説明。実際には2021、23年もCSファーストステージ第1戦に先発しているが、自覚を促す起用だった。

 試合が始まると佐々木は、頼もしい投球を披露した。最初の2人の打者を四球で歩かせたが、一番・淺間大基の二盗失敗もあって初回を無失点にしのぐと、2回からは軌道修正。直球のスピードこそ佐々木としては抑えめの最速159キロだったが、スライダーを軸とする配球に切り替えて丁寧に投げ、8回限りで降板するまでを112球、散発の5安打、無失点に抑えて中村奨吾ポランコのソロ本塁打で奪った2点を守り、今季レギュラーシーズンでパ・リーグ球団唯一勝ち星のなかった日本ハムから、自身ポストシーズン初勝利を挙げた。

 打線は、2発のソロ本塁打による2点しか取れなかったが、投手が0点に抑えれば勝てる。9回も今季の対日本ハムの対戦防御率が12.60だった益田直也が無失点セーブを挙げ、ロッテが敵地での初戦を制した。吉井監督は先発の佐々木について「いつもの乱れる立ち上がりより良い球がいっていて、心配なかった」とたたえ、小野晋吾投手コーチも「本来の姿に戻ってきた」と賛辞を送っていた。

ロッテは先発の佐々木が快投を披露し日本ハム打線を抑え込んだ。佐々木の後を受けた中継ぎ陣も日本ハムを振り切る投球を見せた


Pick up comment
佐々木朗希[投手]
「立ち上がり難しかったんですけど、どうにかアウトを積み重ねられてよかったです。打者の反応を見ながら捕手(佐藤都志也)が良いリードをしてくれて、結果的に良いピッチングができました。大胆に勝負できて、あまり繊細にならずにいけました」

Fが真骨頂の“粘り”発揮


劇的なサヨナラ勝利で逆王手をかけ、新庄監督は右手を天に突き上げた


 ようやく「打」が「線」となってつながった。日本ハムは2対2の延長10回二死から松本剛が四球をもぎ取ると、清宮幸太郎がしぶとく中前へ落として一、三塁とお膳立て。最後は守備から途中出場していた淺間大基がカウント0-1から澤村拓一の151キロのストレートを右前にはじき返し、チームに劇的なサヨナラ勝利を運んだ。

 1点も奪うことができないまま第1戦を落としてあとがなくなったこの試合も、日本ハムは攻撃陣が苦しんだ。初回から3イニング続けて先頭打者が出塁するも得点圏に走者を進めることさえできず、1点が遠いまま次第にロッテの先発・小島和哉の術中にはまっていく。

 すると5回、立ち上がりから抜群の投球を続けていた先発の金村尚真安田尚憲に先制のソロ弾を浴び、7回にも先頭の角中勝也に一発を許して追加点を許してしまう。ソロ弾2発に沈んだ第1戦をそのままなぞるような重苦しい展開に、暗雲が立ち込めていた。

 だが、追い詰められてからの“粘り”こそが今季の日本ハムの真骨頂。それを体現する確かな“個”の力が今のチームには備わっている。

 7回に一死二、三塁からアリエル・マルティネスの遊ゴロの間に1点を返して食らいつき、8回から山崎福也がリリーフとして2イニングをゼロに抑え迎えた土壇場の9回一死。「下心ムンムンでホームランだけ狙っていた」という万波中正が益田直也の152キロのストレートを一閃(いっせん)。打った瞬間それと分かる起死回生の同点ソロを左中間席にたたき込んだ。山崎が3イニング目となる10回を3人で斬って取り、「何としてもゼロに抑えないといけない展開」で役割を全うすると、その裏に淺間によるサヨナラ劇が生まれた。

 2戦続けてしびれる投手戦を繰り広げた日本ハムとロッテによるソフトバンクへの挑戦権を懸けた戦いの結末は、第3戦へと持ち越されることになった。

第1戦でリーグ3位のロッテに王手をかけられた日本ハムは、第2戦は先制点を奪われる苦しい展開も、最後は延長10回、サヨナラ打で勝利を収めた


Pick up comment
新庄剛志[監督]
「なんですか、このチームは感動させ過ぎでしょ。びっくりした。今年を象徴する勝ち方。本当に選手たちがすごい」

淺間大基[外野手]
「マンチュウ(万波)のホームランに鳥肌が立った。『かっけえ』と。(サヨナラ打は)先輩として決めてやろうと思った」

第1戦 ROUND 1 RESULT
■10月12日(土)
◆開始14時00分(2時間55分)◆観衆3万7553人

【勝】佐々木朗希[1勝]【S】益田直也[1S]
【敗】加藤貴之[1敗]
【本】[M]中村奨吾1号(5回ソロ)、ポランコ1号(7回ソロ)


第2戦 ROUND 2 RESULT
■10月13日(日)
◆開始14時1分(3時間33分)◆観衆3万7638人

【勝】山崎福也[1勝]
【敗】澤村拓一[1敗]
【本】[M]安田尚憲1号(5回ソロ)、角中勝也1号(7回ソロ)[F]万波中正1号(9回ソロ)

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