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侍JAPAN NEWS ラグザス presents 第3回 WBSCプレミア12

【侍JAPAN NEWS】侍ジャパン代表メンバーが発表 世界一の座は譲れない

 

11月に開催される侍ジャパンシリーズ2024、そして第3回プレミア12の出場選手が10月9日に都内のホテルで発表された。連覇を狙う侍ジャパンと井端弘和監督は、未来を見据えた「育成」と「勝利」を両輪で追い求めていくことになる。
写真=桜井ひとし、BBM

26年のWBCまで指揮を執ることが決まった井端監督。長い視点でチームを構築していく過程でプレミア12での優勝は必須になる


若き力の発掘と育成


 あらためてプレミア12、そして2026年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に向けて「体制」が整った。会見に先立ち、日本野球機構事務局長であり侍ジャパン強化委員会委員長の井原敦氏が、侍ジャパンの井端弘和監督とのプレミア12までだった契約を26年のWBCまで延長したことを正式発表した。

 昨年11月の24歳以下のアジアプロ野球チャンピオンシップ(APBC)では、多くの若手を登用しながら4戦全勝で優勝。3月の欧州代表との強化試合では4人の大学生を招集するなど、「長く日本が強く、世界のトップに居続けるためには、若い選手が出てこないといけない」という信念の下、常に未来を見据えた「育成」を施しながら、しっかりとチームに「勝利」をもたらしてきた。

 さらにU-15の監督を兼任するなど「アンダー世代に目を配り、(侍ジャパンとしての精神を)各世代に伝えてくれた強い使命感」も契約延長の決め手になったと井原氏は説明し、「日本の魅力を国内だけでなく世界に発信してプレミア12、WBCの連覇を達成してほしい」と期待を込めた。

 契約が延長されたと言っても現在の指揮官がまず注力するのはもちろんプレミア12での連覇。「WBCまでやらせていただくが、まずはプレミア12で世界一になることだけを考えて、一つひとつ課題をクリアしてWBCにつなげていきたい」と語る。とはいえ、「育成」と「勝利」を両輪で回していくスタンスに変わりはない。19年の第2回プレミア12、21年の東京オリンピック、そして昨年のWBCと侍ジャパンは近年の国際大会ですべて優勝を果たしており、井端監督は来るプレミア12の戦いに対して「(負けられないという)プレッシャーはある」と吐露しながらも、第3回プレミア12に向けてもしっかり若手をチームに組み込んだ。

 昨年の大会後に「また侍ジャパンで会おう」と語り掛けたAPBC組からは10人を選出。「欲を言えば(APBCメンバーの)半分以上が入ってほしい」と語っていた人数には及ばなかったものの、選手たちが大会の経験を糧にシーズンで期待に応える活躍を見せたからこその数字だろう。同時に侍初選出が10人、WBC・五輪の経験者は8人。バランスのとれた構成だと言える。

 一方、選手選考にあたってアクシデントがあったことも事実だ。ソフトバンク近藤健介の故障に対してはまだ対応する時間があったものの、ヤクルト村上宗隆がシーズン最終戦で骨折したのはまさに想定外。メンバーが最終的に固まったのは会見前日という事態に見舞われた。それでも井端監督は、「村上選手のケガは痛いが、その分、ほかの選手にチャンスが生まれて国際大会を経験することができる。プラスに捉えたい。1人で野球をやるのではない。総合力で相手を上回りたい」と28人のメンバー選考には自信をのぞかせる。

 ただ、本当に痛かったのはDeNAの正捕手へと成長を遂げた山本祐大の骨折だったかもしれない。侍ジャパンの世代交代において、懸案となっているのが二遊間、そして捕手だ。遊撃についてはWBCを見据えながら指揮官は源田壮亮に大きな信頼を寄せており、二塁には吉川尚輝を初選出している。積年の課題である捕手においても、チームで「打てる捕手」として確かな成長を見せた山本に国際大会での経験を積ませたかったはずだ。

チーム最年長の源田には自身の経験を若手に伝えていくことも求められる


指揮官の振るタクト


 繰り返しになるが、「育成」を推し進めながらも第3回プレミア12で求められているのは優勝の二文字だ。そのためのカギとなるのはまずディフェンス。井端監督も「しっかり先発ピッチャーが抑えて、たとえ先取点を取られても最少失点に抑えて、その中で得点を重ねていって勝つというのが日本の野球」とゲームプランを口にしている。

 決勝までの全9試合を見据え、先発投手は5人。今季1.38という驚異的な成績で最優秀防御率に輝いた高橋宏斗、3年連続12勝を挙げて奪三振王となった戸郷翔征、最多勝&勝率第一位の伊藤大海という3人のWBC戦士が軸となり、初の2ケタ勝利をマークした才木浩人早川隆久が続く。

高橋[右]、戸郷には将来の“侍のエース”としての投球が求められる


 4人は2試合に先発し、1人は第2先発を含めたリリーフに回ることになるだろう。抑えはやはりWBC組の大勢で決まりだ。

プロ経験1年でWBC優勝を経験した大勢が新たな侍の守護神だ


 攻撃陣の組み合わせは「実際にユニフォームを着て、グラウンドに立って」からイメージを固めていくと指揮官は語るものの、「現時点で四番は岡本(岡本和真)選手」と軸になるのは巨人の主砲になりそうだ。ポジションについては辰己涼介の中堅での起用を示唆しながら、同時に「複数ポジションを守れる選手がたくさんいる」とも口にする。いずれにしても攻撃における役割についてはAPBCのときから「打順にとらわれず、自チームでしていた自分の打撃をしてほしい。そのつもりで打順を構築している」と繰り返している。その中で「どこに置いても自分の打撃ができる」という小園海斗が打線の潤滑油となるか。

流動的な打線の中で岡本が四番として軸となることを期待されている


 国際大会において「1点をもぎ取るというところでは、最後は“足”というところが最大の武器になる」という足のスペシャリスト枠には、ソフトバンクの周東佑京に代わって五十幡亮汰が選ばれた。「走塁技術というところではまだ及ばない」と前置きしながらも、「純粋なスピードでは周東選手に匹敵する」という期待に応えることができるか。いずれにしても大会が進む中で調子を含めた選手を見る“目”が確かなことはAPBCで証明済みなだけに、指揮官がどんなタクトを振るのかに注目だ。

五十幡は周東を継ぐ新たな“足のスペシャリスト”としての期待に応えられるか


 今大会はレギュレーションが変更され、オープニングラウンドで4チーム中2チームがスーパーラウンドに進出できたのが、6チーム中2チームという狭き門となった。さらに開幕戦となるバンテリンでのオーストラリア戦以降は台湾での戦いとなり、オープニングラウンド後半にはキューバ、ドミニカ共和国という井端体制下では対戦のない中南米の強豪国が待っている。もちろん第2戦で相対する韓国が目の色を変えて立ち向かってくることは言うまでもなく、チャイニーズ・タイペイ戦が完全アウェーの戦いになることは必至。それだけに「いい勢いをつけて、いいリズムをつくりたい」と指揮官が意気込む開幕戦の重要性は極めて高いものになる。

 まず東京ドームでのスーパーラウンド以降に進むために、いかに直前合宿となる宮崎キャンプからチェコとの強化試合でチームを熟成させていくことができるか。井端監督の「目標は世界一、連覇。そのためにはチームが一つになること」という言葉に期待していきたい。

■侍ジャパン代表メンバー
【凡例】選手名/所属/背番号/年齢/投打
投手/大勢/巨人/15/25/右右
隅田知一郎/西武/16/25/左左
伊藤大海/日本ハム/17/27/右左
高橋宏斗/中日/19/22/右右
戸郷翔征/巨人/20/24/右右
早川隆久/楽天/21/26/左左
才木浩人/阪神/35/26/右右
藤平尚真/楽天/46/26/右右
鈴木昭汰/ロッテ/47/26/左左
清水達也/中日/50/25/右右
鈴木翔天/楽天/56/28/左左
北山亘基/日本ハム/57/25/右右
横山陸人/ロッテ/60/23/右右
捕手/古賀悠斗/西武/22/25/右右
坂倉将吾/広島/31/26/右左
佐藤都志也/ロッテ/32/26/右左
内野手/牧秀悟/DeNA/2/26/右右
吉川尚輝/巨人/4/29/右左
源田壮亮/西武/6/31/右左
栗原陵矢/ソフトバンク/23/28/右左
紅林弘太郎/オリックス/24/22/右右
岡本和真/巨人/25/28/右右
小園海斗/広島/51/24/右左
外野手/森下翔太/阪神/1/24/右右
五十幡亮汰/日本ハム/5/26/右左
佐野恵太/DeNA/7/30/右左
辰己涼介/楽天/8/28/右左
万波中正/日本ハム/66/24/右右

■監督&コーチ
【凡例】役職/氏名/背番号/年齢
監督/井端弘和/89/49
ヘッドコーチ/金子誠/88/49
バッテリーコーチ/村田善則/74/50
内野守備・走塁コーチ/梵英心/77/44
外野守備・走塁コーチ/亀井善行/79/42
投手コーチ/吉見一起/81/40

■第3回プレミア12出場国

※カッコ内は出場国決定時の世界ランク


■侍ジャパン試合日程

■第3回プレミア12
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