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2024 パ・リーグ CSファイナルステージREVIEW

<ソフトバンク×日本ハム>それぞれがそれぞれに野球巧者たちのブレない姿勢/CSファイナルステージREVIEW

 

日本シリーズ進出の切符を懸けて、セ・パの王者がファーストステージ突破チームを本拠地に迎え撃ったファイナルステージ。激闘の連続となった熱戦の模様を振り返る。

リーグ覇者の貫録を十二分に見せつけた。逆転勝ちの勢いそのままに福岡に乗り込んできた日本ハムを圧倒しての3連勝! ソフトバンクが無傷で日本シリーズ進出を決めた。短期決戦であらためて強さを示した。
写真=湯浅芳昭、毛受亮介
※試合結果、成績は10月20日現在

見事な3本塁打! やはり、ここ一番で光るのは四番・山川の頼もしさだ


 いつもと違う雰囲気の中で、どれだけいつもどおりにプレーすることができるか――。短期決戦のポストシーズンはそれに尽きると言ってもいいだろう。10月16日の第1戦、ソフトバンクの勝利へと試合の流れを決定づけたとも言える3回表の華麗な併殺プレーを完成させた今宮健太川瀬晃は試合後、ともに「緊張」という言葉を口にした。特に今宮はクライマックスシリーズ(CS)に9度出場しているベテランだ。それでも「セレモニーがあって、そのときからめちゃめちゃ緊張し始めたんでヤバかったです」と、試合前の心境を振り返っている。

初戦は最多勝右腕同士の投げ合いに。有原航平[左]が7回2失点と仕事を果たしたのに対し、伊藤大海[右]は2被弾して5回2/3、4失点と悔しい結果に……


 とはいえ、試合が始まれば、緊張ではなく、目の前の敵と戦わなければならない。その点、今宮は3試合で1本塁打を含む5安打をマークする活躍。

『パーソル賞』を獲得した今宮健太。初戦は1本塁打を含む3安打、第2戦はマルチ安打、そして第3戦はきっちり2つの犠打を決める活躍


 そして、それ以上に目を見張ったのが、四番・山川穂高と五番・近藤健介の圧巻の打撃だった。山川は3試合で6安打6打点、第1戦に続き17日の第2戦では2打席連続の本塁打で球場の度肝を抜き、MVPに輝いた。

 9月16日の試合中に負った右足首の捻挫を抱えていた近藤は当初、出場できるかも微妙な状態だったが、「CSの3、4日前ぐらいから状態がすごく上がってきた」。ぶっつけ本番となったが、DHながら3試合すべてに出場し、こちらも6安打、第2戦では決勝2ランを放った。小久保裕紀監督が「1カ月のブランクがあるとは思えない」「シーズン中からも言っているんですけど、近藤の打撃は僕に聞かないでください!」と、舌を巻くほどの見事な“復活劇”だった。

右足首の捻挫から復帰を果たした近藤が連夜の快音。第3戦では4打数4安打


 終わってみれば、3連勝でのCS突破。しかも、日本ハムにリードを許したのは、第2戦の初回に先制された場面のみ。それも、その裏にすぐさま逆転している。

 レギュラーシーズンで12勝12敗1分けと互角の戦いを見せた両者。しかし、この3試合に関しては、力の差は歴然だったと言わざるを得ない。もともと短期決戦には強いと言われてきたソフトバンクだが、その強さを裏付ける言葉が、第2戦後の山川から聞かれた。

「野球が上手なメンバーがたくさんいる。自分がどういうことをしなければいけないか。みんなが自分がやるべきことを定めてやっている」

 確かに、爆発力を見せた打線に限った話ではない。投手陣も、先発した3選手はいずれも5回以上を投げて2失点以内と試合をつくり、リリーフで登板した4選手は全員が無失点に抑えた。

8回のダーウィンゾン・ヘルナンデス[左]、9回のロベルト・オスナ[右]は3連投。無失点リレー、最後のオスナ甲斐拓也の熱い抱擁までがお決まりのパターンに


 対して日本ハムは、18日の第3戦後に清宮幸太郎が「僕のミスが点に絡んだ。申し訳ない」と反省を口にすれば、新庄剛志監督も3試合を振り返って「シナリオどおり行かなかったですね」。本来の自分たちらしさを見せることができずに終わった。

第3戦、3回に伏見寅威の一発、万波中正の適時打[写真]で同点に追いつくも、反撃はそこまで


 レギュラーシーズン以上に一戦一戦が大事だからこそ、選手一人ひとりが自分の仕事に徹する。日本シリーズに向けても、何かを大きく変える必要はない。

第1戦 ROUND 1 RESULT
■10月16日(水)
◆開始18時00分(2時間40分)◆観衆4万142人

【勝】有原航平[1勝]【S】R.オスナ[1S]
【敗】伊藤大海[1敗]
【本】[F]レイエス1号(7回ソロ)[H]今宮健太1号(4回ソロ)、栗原陵矢1号(5回ソロ)、山川穂高1号(8回ソロ)


第2戦 ROUND 2 RESULT
■10月17日(木)
◆開始18時00分(3時間18分)◆観衆4万142人

【勝】L.モイネロ[1勝]
【敗】加藤貴之[1敗]
【本】[H]近藤健介1号(1回2ラン)、山川穂高2号(5回ソロ)、山川穂高3号(7回ソロ)


第3戦 ROUND 3 RESULT
■10月18日(金)
◆開始18時00分(2時間50分)◆観衆4万142人

【勝】C.スチュワートJr.[1勝]【S】R.オスナ[2S]
【敗】山崎福也[1敗]
【本】[F]伏見寅威1号(3回ソロ)

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