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侍ジャパン シリーズ 2024 チェコ戦 REVIEW

【侍ジャパン シリーズ 2024 チェコ戦 REVIEW】見せた若き侍の地力

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プレミア12へ向けた最後の実戦の場として、バンテリンドームにチェコを迎えた強化試合。井端弘和監督率いる侍ジャパンは見事に連勝を飾り、4大会連続での世界大会優勝へ向けて万全の状態で本番に挑んでいく。
写真=毛受亮介

プレミア12に向けて井端監督も確かな手応えを手にした2試合となった


【第1戦】日本 7-1 チェコ
短期決戦でモノを言う即座の修正と実行力


小園は4安打を放って打線を活性化させた


 投打ともに現在の状態をしっかりと確認することができた。井端弘和監督が「思ったより打てたと思うので少しホッとしている」と振り返ったように、打線は13安打と活発だった。特に指揮官が「二、三番と決めていて、いい働きをしてくれた」という小園海斗辰己涼介はプレミア12本番でも打線のカギを握る存在になるだろう。

 小園は3回二死三塁で、快足を飛ばして遊ゴロを適時内野安打とした一打を含め4安打と爆発。6回、7回の安打も得点につなげたように「とにかく後ろにつなぐことが仕事だし(自分の)持ち味」と自覚十分。指揮官が「どの打順でも打つことができる」と高く評価するように、二番に限らず打線の潤滑油となっていくはずだ。

「本塁打を狙いたい」と言っていた辰己は2安打2四球、7回には無死一、三塁から有言実行となる試合を決める3ランを右中間にたたき込んでいる。

7回には試合を決定づける辰己の3ランが飛び出した


 森下翔太や途中出場の清宮幸太郎にも適時打が飛び出すなど、宮崎秋季キャンプ組のバットは振れていた。日本シリーズから合流したばかりの桑原将志牧秀悟佐野恵太栗原陵矢に当たりが戻れば、攻撃陣に大きな不安はないはずだ。

 投手陣は先発の高橋宏斗が初回に3安打を浴びていきなり失点を喫するなど、3回4安打2四死球とわずかに乱れた。だが、短期決戦に向けて、高橋が露呈した不安を投手陣全体ですぐに修正できたことが大きな収穫だ。

 ベルト付近のボールをとらえられているとみるや、ベンチは捕手の坂倉将吾と情報を共有。二番手の才木浩人は高めの直球で押し込みながら要所で低めへ制球し、高低を使って3回7奪三振の快投でチェコ打線の勢いを止め、北山亘基大勢とつないで4回以降は完全継投を見せた。直球の威力があることが前提になるが、「上(高め)を利用するのは、オーストラリアやキューバ、ドミニカ(共和国)には有効なのかなと思う」と、指揮官も今後の戦いに向けて手応えを口にしていた。

二番手の才木は3回7奪三振の圧巻の投球でチェコ打線の勢いを寸断


三番手・北山の第2先発としての適性が確認できたことも収穫


「強化試合であっても先に点を取られると焦りが出る。なんとか追いついて、そこから引き離せたのはよかった」

 指揮官が振り返ったとおり、先制されながら落ち着いたゲーム運びで逆転勝利を飾ることができたという事実が、若き侍ジャパンの地力の証明だと言える。

■2024.11.9@バンテリンドーム
□試合開始=19時6分 □試合時間=2時間42分 □入場者=33,758人

[投]高橋宏斗-○才木浩人-北山亘基-大勢
[本]辰己涼介(7回3ラン)


■打撃成績

※△は左打ち


【第2戦】チェコ 0-9 日本
一発に足に小技に理想的な攻撃を実現


投手陣は先発の早川から計7人で17奪三振をマーク


 本番に向けて絶好のシミュレーションとなったはずだ。投手陣について言うことはない。2回5奪三振無失点の先発・早川隆久から計7人による完封リレー。いずれの投手も三振を奪って17奪三振の快投劇を演出した。9対0の8回に六番手で登板した鈴木翔天が先頭から2者連続四球を与え一死二、三塁のピンチを背負ったものの、その機会さえムダにはしなかった。内野が前進してバックホーム態勢をとり、僅差を想定した“テスト”を敢行した。

 打撃陣はより理想的な形で本番を見据えた攻撃を繰り出すことができた。まずは“一発”だ。初回、併殺で二死となったところから三番の辰己涼介が四球をもぎ取り、四番に入った森下翔太が泳ぎながらも「うまくバットに乗ってくれた。入ると思わなかったが最高の結果になってよかった」と左中間へ先制2ランをたたき込んだ。ヤクルト村上宗隆巨人岡本和真といった大砲をケガで欠いても、しっかりと若手が穴を埋める。一発の力を維持できている意味は大きい。

初回に飛び出した森下の2ランで試合の主導権を握ることに成功した


 その後は打線が沈黙して2点差のままゲームは膠着状態に陥った。“終盤の1点”をいかにもぎ取るか。次は“足”だ。7回に先頭の牧秀悟が安打で出塁すると、井端弘和監督はすかさず代走で五十幡亮汰を送り込む。けん制で誘い出されたものの自慢のスピードを生かして二塁を陥れると、さらに三盗に成功。相手内野陣が前進守備を敷かなかったこともあり、打席の代打・源田壮亮は二ゴロできっちり仕事を果たして五十幡を本塁へ迎え入れた。指揮官が常々、「足が最大の武器になる」と言っていたとおりの形で“次の1点”を手にし、「終盤のなんとか1点を取りたいところで持ち味を十分発揮してくれた」と五十幡をたたえた。

“足のスペシャリスト”五十幡が遺憾なくスピードを見せつけた


 最後は“小技”だ。8回も先頭の佐野恵太が安打で出塁すると、今度は村林一輝が投前犠打でしっかりと得点圏に走者を進め、続く辰己涼介の右越え適時二塁打で決定的な4点目を奪取。その後はチェコの守備陣にミスが相次いで結果的に6得点のビッグイニングとなったが、侍ジャパンとしての理想的な最初の4得点だった。事実、井端監督も「ある程度、2試合で試すことができてよかった」と、本番に向けて確かな手応えを口にした。

最後は辰巳の好返球による本塁封殺でゲームセット


■2024.11.10@バンテリンドーム
□試合開始=19時8分 □試合時間=3時間19分 □入場者=23,223人

[投]早川隆久-戸郷翔征-隅田知一郎-鈴木昭汰-藤平尚真-鈴木翔天-清水達也
[本]森下翔太(1回2ラン)


■打撃成績

※△は左打ち

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