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第97回選抜高校野球大会

<21世紀枠候補校紹介>小松工高・胸に秘めた『公立魂』「結果を出せるのは、小さな努力の積み重ねがあってこそ」(中野稔監督)

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昨秋の北信越大会で公立校として唯一の2勝を挙げ、準決勝進出。昨夏の石川大会は甲子園に出場した小松大谷高との初戦で敗退。悔しさをバネに同秋は準決勝で雪辱した。地域に根差した学校で、ボランティアにも積極的に参加。実力に加え、模範校として21世紀枠にふさわしいチームカラーだ。
取材・文・写真=沢井史
※学年表記は2025年4月以降の新学年


2023年8月の豪雨災害では、近隣の民家に出向き泥よけのボランティア活動を実施。24年9月の能登豪雨で被害を受けた輪島高や野球関係者の自宅や職場の復旧作業に継続的に協力している。部員31人は意識が高い


数字に出ない大きな差


 1964年と2000年、夏の甲子園出場歴のある石川県の公立の雄が昨秋、旋風を巻き起こした。県大会では準優勝。北信越大会でもベスト4に勝ち上がった。新チーム結成直後、中野稔監督はまずこう目標を掲げた。

「秋の北信越大会に出場することを目標にしました。昨秋は石川県が開催地だったので、上位4校が出場できる。ベスト4に進出できる力をつけていかなくてはと思いました」

 昨夏の石川大会では、甲子園に出場した小松大谷高に初戦(2回戦)で0対3で敗れた。安打数は小松工が5本、小松大谷は4本。試合内容を見てもほとんど差はなかったが、中野監督は数字に出なかった大きな差を指摘し、こう振り返る。

「守備ではファウルフライを落としてしまって、その後に四球を出してピンチを広げたとか、ウチが取れるべきアウトが取れない場面がいくつかありました。当時の3年生に聞くと勝てた試合だったと言うんですけれど、普段から本気で私学を倒そうと思っていままでやってきたのかと思うと、ここという場面で普段どおりのことができない選手たちの気持ちの面に差があったのかなと。小松大谷は甲子園に行くために必死で練習してきて、少ない好機をしっかりものにして、結果として出た。ならば公立高校でも本気で甲子園に行きたいならどうすべきなのか。それはずっと考えながらやってきました」

自ら考えて行動


 石川県と言えば2023年秋の明治神宮大会王者で甲子園の常連校の星稜高、伝統校の金沢高、近年力をつけてきている日本航空石川高、そして昨夏の甲子園16強の小松大谷高、遊学館高など強豪私学が毎年上位にひしめく。中野監督は日体大を卒業後、90年に野々市明倫高の監督に就任。97年から小松工高の監督となり、00年の夏の甲子園出場を果たした経歴も持つ。その後・・・

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