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MLB NEWS 2025

佐々木朗希が入団会見 夢で目標の場所に一歩近づく「選手として一番成長できる場所を純粋に選ぶことができる、一生に一度の機会だった」

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ドジャースは現地時間1月22日にロッテからポスティングシステムでMLB挑戦を表明していた佐々木朗希投手とマイナー契約で合意したことを発表。契約金は650万ドルで、スプリングトレーニングは招待選手としてプレーする。それを受け同23日に、ドジャー・スタジアムで入団会見を行った。
写真=Getty Images

念願のメジャー挑戦の切符を手に入れた佐々木。やや緊張気味の会見となった


ロハスから背番号「11」を譲り受け開幕までにメジャー契約を勝ち取る


 MLBと選手会との間で交わされている現行の労使協定により、25歳未満のドラフト対象外の外国人選手はメジャー契約を結べないため、マイナー契約からのスタートとなる。2年後の25歳となってから挑戦すれば、破格の契約を獲得できた可能性もあるが「その2年をどういった状態で迎えられるか保証はない。お金よりも、この2年間を過ごす時間のほうが僕にとって価値のあるものだと判断した」と断言。「厳しい競争を勝ち上がって、メジャー契約を勝ち取りたい」と、はつらつと語ったのだ。

 ポスティングシステムでMLB挑戦を目指した最速165キロを誇る23歳の右腕は、20球団から獲得の意思を示された。熟考を重ね、最終的に名門球団を選択。「自分が選手として一番成長できる場所を純粋に選ぶことができる、一生に一度の機会。楽しみ、かみしめてこの1カ月を過ごした。一つだけを選ぶのは非常に難しい決断だったが、自分が出した結論がベストだと信じ、自分の可能性を信じてくれる人たちのために前に進んでいきたい」と決意を示した。

マイナー契約ながらも、今オフの目玉としてアメリカ野球界では注目が高かっただけに、ドジャースも破格の扱いの会見を行った


安定したフロントを信頼


 交渉過程では面談した各球団に「宿題」を課した。内容は「なぜ昨季に自分は直球の球速が落ちたのかを分析し、2度と起こらないようにするためのプランは」といったもの。「契約の条件であまり差がない。限られた時間の中でより具体的にチームの考えを理解したかった」と意図を説明した。

 ドジャースには大谷翔平山本由伸が所属しているが、決断に影響はなかったそうで「総合的にドジャースが一番良かった。一番はフロントの安定感」と理由を語った。さらに住環境も重要視。「日本人を受け入れる環境があるかどうかは、日本人が(チームに)在籍しているかどうかよりも大事だった」。日本人が多く住むロサンゼルスは魅力的だった。

 ロサンゼルスは1月上旬から山火事に襲われ、多大な被害を被っている。佐々木自身も2011年の東日本大震災で被災。「自分も苦しい思いをしたが、目標を見失わないこと、前を向き続けること、それだけは忘れないようにしていた。ロサンゼルスの街も今はつらい状況だが、今日から自分もドジャースの一員としてロサンゼルスの皆さんと一緒に前を向いて頑張っていけたらと思う」。感情を込めながらゆっくりと話した。

 昨オフに入団した大谷がケリーから背番号17を譲ってもらい、お礼にポルシェを贈ったことが話題になった。佐々木が着ける「11」も昨季までベテラン内野手でチームリーダーのロハス(ミゲル・ロハス)が着けていた番号だ。「実績のあるロハス選手に番号を譲っていただいて本当に感謝している。何をあげるかはまだ決め切れていないので、チームに入ってから相談して決めたい」と笑った。

背番号は「11」に決まった。背ネームはR.SASAKIとなった


 ドジャースは佐々木が岩手・大船渡高にいた6年前から投球を視察していた。潜在能力に惚れ込んできたフリードマン編成本部部長は「本人の目標は日本人初のサイ・ヤング賞だろうし、その夢をかなえられるだけの能力を間違いなく有している」と期待した。

ドジャースの首脳陣と記念撮影でようやくリラックスした表情に[右からロバーツ監督、佐々木、フリードマン編成本部部長、ゴームズGM]


佐々木朗希 ドジャース入団会見 一部抜粋


――なぜドジャース入りを決断したのでしょうか。

佐々木 どの球団もそれぞれ、魅力はあったんですけど、いろんな話をした上で、総合的にドジャースが一番よかったという判断です。

――各球団への宿題のテーマは「球速」。宿題を出した理由を教えてください。

佐々木 契約の条件に差がないので、限られた時間の中で、より具体的にチームの考えだったりを理解したかったからです。

――大谷翔平、山本由伸両選手がいることによって、決断の影響はあったのでしょうか。

佐々木 一番はフロントの安定感かなと思っています。

――ドジャース入りを報告したときの2人の反応は?

佐々木 メッセージで、連絡いただいたんですけど、自分からドジャースでお世話になるということを伝えて、『ようこそ』みたいな形で連絡をいただきました。

――メジャーという大きな挑戦になります。

佐々木 すべてのことが初めての経験になりますし、NPBと違ったことが、多いと思うんですけど、その前にまずはマイナー契約からのスタートなので厳しい競争を勝ち上がって、メジャー契約を勝ち取れるように、まずはそこかなと思っています。

――日本人2人の存在はどのくらい影響を与えたのでしょうか。

佐々木 今回の交渉では日本人が在籍しているかどうかは、決断する上で、重要視はしていませんでした。ただ、大谷選手も山本選手もすばらしい選手ですし、それ以外にもすばらしい選手がたくさんいる。その人たちと一緒にプレーできるかもという楽しみはありますが、まずは同じステージに立ちたいという思いです。

――背番号11に決まりました。

佐々木 実績のあるロハス選手に背番号を譲っていただき、感謝しています。ただ、何をあげるかは自分の中で決め切れていないので、チームに入ってからいろいろ相談したいと思います。

――ロサンゼルスは日系コミュニティーが発達しています。

佐々木 日本人が在籍しているかどうかは決断する上で重要視していなかったですけど、ただ日本人を迎え入れるというか、受け入れる環境があるかどうかは日本人が在籍しているかより僕の中で大きかったかなと思います。

――メジャーでプレーするために足りない部分はなんでしょうか。

佐々木 僕の中では全部足りないと思っています。試合数は日本より多いと思うので、そのあたりの適応はより一層頑張らないといけないと思っています。

――右肘を痛めたことが早期決断につながったと言われていました。

佐々木 あと2年待てばという声も多く聞きますけど、その2年でどういった状態で迎えられるか保証もないですし、お金よりもこの2年間を過ごす時間のほうが自分にとって価値があると判断しました。

中日・小笠原慎之介 ナショナルズとメジャー契約



 ポスティングシステムでの交渉期限ぎりぎりで契約合意となった。中日からメジャー移籍を希望していた小笠原慎之介が、現地時間1月24日、ナショナルズと2年のメジャー契約を交わした。総額は2年350万ドル(約5億4300万円)で、中日には70万ドル(約1億円)の譲渡金が支払われる。小笠原と契約したナショナルズは、日本のプロ野球から直接選手を獲得するのは初めてだ。2024年はナ・リーグ東地区で4位。若手を登用して再建を目指している途中のチーム。同リーグにはブレーブス、メッツ、フィリーズという強豪チームがひしめく。球団は公式Xで「ナショナルズへ ようこそ」と歓迎のコメントを出している。NPB通算46勝(65敗)の小笠原だが、契約の金額的には先発ローテを確保したとは言えない内容。実戦で結果を残し、開幕メジャーを目指していくことになる。

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