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名門・横浜高 日本最高学府から得た学び センバツ優勝候補校が東大との練習試合を実施

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センバツに出場する横浜高は3月7日、東大と練習試合を行い、7回日没コールドで、13対1で勝利した


「異例の対決」実現の経緯


 始まりは東大の主将・杉浦海大(4年・湘南高)の発案だった。「昨秋、横浜高の試合を見ていたら2人の投手(2年・織田翔希と3年・奥村頼人)が目に留まりました。東京六大学の投手とそん色ないな、と。特に織田君の(最速150キロの)ストレートが印象的で対戦したいと思ったのです」。そこで杉浦は母校・湘南高の川村靖監督に相談した。横浜高の村田浩明監督に話をつないでもらった。湘南高と横浜高は毎年秋に定期戦をしている縁がある。東大からのオファーを伝え聞いた村田監督は「あの東大から……」と驚いたが「東京六大学の高いレベルで戦っている東大さんと試合ができるのはありがたい機会」と快く承諾。こうして「異例の対決」が3月7日に実現した。

 当日は試合開始1時間前には約500人収容可能な東大球場のネット裏観覧席が満員に。プレーがかかるころにはグラウンド外周が立ち見で囲われた。東大・大久保裕監督は「リーグ戦ではいつも格上のチームにどう勝つか、と、工夫を重ねている。超高校級のチームとの一戦はその予行演習にもなる」と意気込んだ。

抽選会後にすぐさま帰京


 この日はセンバツの組み合わせ抽選会が大阪市内で開催。出席した村田監督と阿部葉太主将(3年)は抽選会を終えると、大急ぎで帰京。2人は試合開始直前に到着した。それだけ横浜高にとっても、大事な一戦だった。村田監督は「高校野球で一番を目指しているウチが、勉強で一番のチームから得られることは大きい」と考えていた。

 センバツ初戦の相手(市和歌山高)も決まり、すっきりした気持ちで臨んだ横浜高だったが「場内の雰囲気が甲子園と同じようで、始めは動きが硬かった」(村田監督)。それでもほぼアップなしで出場した一番・阿部葉が初回表にいきなり中越えの三塁打を飛ばすと、2回には特大の3ラン。投げては先発・織田が「自己採点は50点」としながらも5回途中まで1失点6奪三振。最も対決を望んでいた杉浦はセンターへの二塁打を1本放ったものの、プロ志望を明言している一番・酒井捷(4年・仙台二高)は無安打2三振に抑えられ「法大の篠木健太郎投手(DeNA)以上のストレートに感じた」と肩を落とした。

 注目の一戦は13対1で横浜高が勝利(7回日没コールド)。東大はチーム事情により、サブマリンエースの渡辺向輝(4年・海城高)は登板せず。センバツ優勝を目指す横浜高にとって弾みがついた試合になったが、東大は悔しい結果に。酒井は「横浜高のように取るべきアウトを取れなかった」と厳しい表情を見せた。

 東大の選手は学業で進路を切り拓き、神宮で戦う夢をかなえた。一方、横浜高の選手は子どものころから野球にかけ、結果を出すことで甲子園出場を遂げた。両者はこの異例の対決で多くの学びがあったに違いない。

取材・文・写真=上原伸一

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