1年後に迫った2026年WBCを見据え、20人が初選出というフレッシュな顔ぶれで臨んだ強化試合。侍ジャパンは随所にストロングポイントを発揮し、オランダに対して鮮やかに連勝を飾った。 取材・文=杉浦多夢 写真=毛受亮介 
初選出となった水谷の先頭打者弾から侍ジャパンは流れに乗った
【第1戦】日本 5-0 オランダ
世界レベルの力 侍投手陣の真骨頂

先発の宮城は3回完全投球にも「いい形で終われたのはよかった」と冷静そのもの
井端弘和監督が「『よーいドン』で1点が取れて展開が楽になった」と振り返ったように、初回に飛び出した
水谷瞬の先頭打者弾が大きかったのは言うまでもない。6回には指揮官が「ノーサイン。選手が状況判断して動いてくれた」という重盗を絡めて
高部瑛斗の2点適時打を引き出すと、8回も2本の適時打でダメ押しの2点を加えた。

高部は6回に2点適時打で貴重な追加点
圧巻だったのはかねてから井端監督が「日本の最大のストロングポイント」と口にする投手陣だ。シーズン開幕まで約3週間という調整段階にありながら、今大会で唯一の2023年WBC世界一メンバーとなった先発の
宮城大弥が3回4奪三振の完全投球を見せると、6回から四番手で登板した
今井達也は最速158キロを計測するなど150キロ台後半を連発。1四球を与えたものの「ちょっと修正して」と7回は三者凡退に斬って取るなど、計6投手で1安打の完封リレー。侍投手陣の真骨頂を存分に見せつけた。

今井も第2先発のような役割で圧巻の投球を披露
■2025.3.5@京セラドーム □試合開始=19時7分 □試合時間=2時間51分 □入場者=2万8618人
■打撃成績 
※△は左打ち
【第2戦】オランダ 0-9 日本
点が取れぬなら“もぎ取る”まで

先発の種市は2回無失点で「いいアピールができた」と笑顔を見せた
前夜に続いて投手陣には文句のつけようがない。先発の
種市篤暉から計6投手で1安打無失点。8回二死まで完全継投を見せ、六番手の
曽谷龍平が浴びた初安打も不運なボテボテの内野安打だった。井端弘和監督も「あらためてレベルは高い」と納得の表情だった。
一方の攻撃陣は重苦しい空気に包まれた。指揮官が「毎イニングのように投手が変わる中でうまく対応していかなければならない」と課題を口にしたように、オランダの継投策の前に4回までわずか1安打でゼロが並んだ。安打が出ずとも得点を奪うには――。迎えた5回、先頭の
森敬斗が四球で出塁すると、すかさず二盗。
太田椋の一ゴロで三進し、
佐藤輝明の右犠飛を右翼が落球する間に悠々と先制のホームを踏んだ。

森は5回に先頭で出塁するとすかさず二盗。先制のホームを踏んだ
その後は相手のミスが相次ぎ、
大山悠輔のソロ弾も飛び出すなど7点のビッグイニングとなったが、指揮官も「点が取れないときにはスピードが必要になる」と目を細めていた。

5回は大山の左越えソロが飛び出すなど7点のビッグイニングに
■2025.3.6@京セラドーム □試合開始=18時35分 □試合時間=2時間58分 □入場者=2万1747人
■打撃成績 
※△は左打ち