勲章が、また一つ。4月3日のロッテ戦(ZOZOマリン)で、オリックス・平野佳寿がNPB通算250セーブを達成。2023年に日米通算250セーブを記録し、すでに名球会入りを遂げている41歳右腕が、節目の数字を静かにかみしめた。 写真=古賀恒雄 幾度もピンチを切り抜けてきた右腕の最大の武器。フォークを低めに落としてバットに空を切らせる。最後のアウトを空振り三振で奪うと、拳を握って雄叫びを上げた。オリックス・平野佳寿が4月3日のロッテ戦(ZOZOマリン)で、史上4人目のNPB通算250セーブとなる今季初セーブ。41歳のベテランは、「僕1人ではできない記録。皆さんにありがとうございますって言いたい」と、静かに喜びをかみしめた。
2018年から3年間はメジャーの舞台で腕を振り、日米通算250セーブは23年に達成済みとあって「一昨年のときは、すごい感慨深かったんですけど……」と、喜ぶのは記録より勝利。それこそが原動力だ。23年には、こう語っていた。
「勝ちゲームをそのまま終わらせ、チームに勝ちをつける。マウンドで皆でハイタッチをする。セーブというより、それが目標でしたし、これからも変わりません」
積み上げた数字は、苦い思いを肥やしにしてきたもの。抑えて当然、痛打を浴びたときのほうが注目されがちな酷なポジションを担い、強靭なメンタルも評価される中、「僕は打たれてすぐに切り替えられるメンタルを持ち合わせていない」と明かしたこともあった。
「次も打たれたらイヤだなと思いながら、次の一歩を踏み出してきた。打たれた次の登板で抑えて、初めて切り替えることができるんです」
成功もあれば失敗もある。だから、積み上げた数字に対しての思いを問えば、「失敗したあとの一歩が大事だったなと思うんです」と言って続けた。
「気持ちが折れたまま前を向けないときもあるけど、もうちょっとだけ、ちょっとだけでいいから頑張ろうと思えるか」
重圧と戦い続けての金字塔は、数字だけでは計り知れない重みがある。
PROFILE ひらの・よしひさ●1984年3月8日生まれ。186cm88kg。京都府出身。鳥羽高-京産大-オリックス06希-ダイヤモンドバックス18-マリナーズ20-オリックス21=17年。