上々の新天地デビューとなった。4月3日の中日戦(バンテリン)で巨人の田中将大が移籍後、初登板初先発を果たし、日米通算200勝まであと2に迫る勝利をマーク。現役レジェンド右腕の「特別な1勝」は、完全復活を予感させる力投だった。 写真=松村真行 「200」の大台に向けて、新天地で再び時計の針が動き出した。4月3日の中日戦(バンテリン)、先発で“巨人デビュー”を果たした田中将大は、5回5安打1失点、96球の力投で日米通算198勝目をマークした。
魂の雄叫びだった。4対1で迎えた5回、
岡林勇希に二塁打を許して一死二、三塁のピンチを背負うと、ギアが上がる。球数が90球に迫る中、続く
上林誠知へこの日最速の149キロを連発。四球で満塁としたものの、捕手の
甲斐拓也をにらみつけるような眼光はさらに鋭くなる。96球目に勝負球としてスライダーを選択すると、
細川成也が引っ掛けたゴロは「2つ(アウトを)取ってくれと祈った」という思いが通じたように、三塁の盟友・
坂本勇人がさばいて5-4-3の併殺が完成。移籍後初勝利に背番号11が吠えた。
小中学校の同級生はバットでも復活のマウンドを後押しした。試合前に「俺も(無安打で)まだ開幕できていない」と田中将に語り掛けていた坂本は2回に先制の中犠飛。4回に今季初のHランプを灯すと、1点差に迫られた8回にも左犠飛を放ち、田中将は「2人で少しは存在感を出せたかな」と顔をほころばせた。
楽天時代の2023年オフに右肘の手術を受けた影響で昨季は1試合登板、0勝に終わり、新たな環境での再スタートを決断して巨人へ移籍。実に586日ぶりの勝利に、「今日は勝たせていただいた1勝。自分にとってもすごく特別ですし、いろいろな思いがあって、勝つことができて本当にうれしく思う」という言葉には実感がこもっていた。
「200」まであと2としたが、入団にあたり「3勝で終わるつもりはない」と決意を語っていたように、もちろん通過点。「特別な1勝」も、完全復活への序章に過ぎない。
PROFILE たなか・まさひろ●1988年11月1日生まれ。188cm97kg。兵庫県出身。駒大苫小牧高.楽天07[1]-
ヤンキース14-楽天21-巨人25=12年。