
3日間の練習を終え、グラウンドにあいさつ。充実の表情が広がっていた。左端は小倉監督[写真=牛島寿人]
木製バットへの対応力
今年9月、沖縄県内で開催予定の「WBSC U-18W杯」に向けたU-18日本代表候補強化合宿が4月3日から3日間、奈良県内で開催された。各都道府県高校野球連盟からの推薦選手と、第97回選抜高校野球大会に出場した選手や日本代表スタッフから推薦された選手42人を選出。春季大会の進行状況やコンディション不良などで4選手が参加を見合わせ、38人が集まった。練習、紅白戦をはじめ、国際大会に参加する際のスポーツマンシップに関する座学研修など2泊3日の日程だった。
昨年に続き代表チームを率いるのが小倉全由監督(日大三高前監督)。昨年はU-18アジア選手権(台湾)で2位。当時、痛感したのは「守備と足の必要性」だったという。今合宿では守備力と足を使える選手の能力も重視。代表20人という限られた人数の中で、野手と投手を兼任できる選手がどれだけいるかもポイントとなる。今年はそういった「投打二刀流」の選手も多く合宿に集まった。
初日は午後からの練習でノック、バッティングのメニューをこなし、2日目は特別ルールによる紅白戦を行った。午前中は右腕投手、午後から左腕投手が登板。紅白戦終了後は打撃練習に時間を割き、3日目も木製バットへの対応力などを確認した。
日本代表としての「心構え」
3日間の合宿を終え、小倉監督は「昨年もそうでしたけれど、1日目より2日目、2日目より3日目というように選手たちの表情がどんどん良くなってくる」。昨年に比べて「おとなしい選手が多い」としながらも、自チームでは主将で、持ち前の明るいキャラクターで合宿ではリーダー役を務めた中野大虎(大阪桐蔭高)らが雰囲気づくりに徹していた。
「個々に持ち味があり、ここにいない選手も含め、幅広い選択肢の中から20人を選ばなきゃいけない。この42人から20人を選ぶのも大変なのに……」と選考の難しさ明かした。
昨年の苦い思いを噛みしめながら小倉監督はこう続ける。
「昨年、アジア選手権で対戦した台湾の投手陣は素晴らしかった。聞くと、この時期に候補になる選手を絞って合宿をしているそうです。代表選手になって、その先にプロ野球選手になるという目標も持っている。その意識の高さをすごく感じました。日本(の高校球児)には甲子園という一番の目標があります。甲子園を目指す野球は素晴らしいんですけれど、その先にあるワールドカップに向けて、そういう気持ちも持って練習をしてもらえたらと思います」
大事にしてほしいのは日本代表としての「心構え」だ。「日の丸を背負うことは大会のときだけじゃなく、もう今から背負うくらいの気持ちでいてほしい。そういう気持ちが選手として大きくしてくれます」(小倉監督)。今後、本格化する各地での春季大会などでも視察を続ける。(取材・文=沢井史)
◆U-18日本代表候補選手強化合宿参加選手 
【注】学年は全員3年
※=春季大会参加ほかのため不参加、□=コンディション不良により辞退