開幕カードで負け越した相手に、意地を見せた。首位攻防戦となった4月18~20日の阪神との3連戦(甲子園)。開幕2戦で敗れた森下暢仁と床田寛樹が同18、19日にそれぞれ勝利し、ともに通算50勝を達成した。投手陣の奮闘に野手陣も奮起し、躍進は続く。 写真=牛島寿人、佐藤真一 ※成績、記録は4月20日時点 
4月18日、9回2失点の今季初完投で3勝目を挙げた森下[右]、4月19日、7回無失点の投球で今季2勝目を挙げた床田
積み上げる経験と勝利
試練に負けない不屈力を発揮している。開幕前から開幕直後にかけて
坂倉将吾、
秋山翔吾、モンテロらの負傷離脱が続き、開幕2カードは負け越し。複数の主力選手の不在の影響は決して小さくなかったが、4月4日からの
DeNAとの3連戦(マツダ
広島)、同11日からの
巨人との3連戦(マツダ広島)は全勝。同10~15日に5連勝、さらには球団史上初の4月の本拠地8連勝もマークした。
同じ相手に二度は負けない強さもある。打線は同15日の
中日戦(マツダ広島)で今季2度目の対戦となった先発マラーを攻略すると、同18日の阪神戦(甲子園)では開幕戦で8回2/3を4安打無得点に抑えられた
村上頌樹に対し、4回終了までに7安打5得点と借りを返した。
躍進を支える、投手陣も力を見せる。同戦の先発は、自身初の開幕投手として3月28日の同カード(マツダ広島)に登板、悔しい黒星を喫した森下暢仁だった。初回に二死から連打と四球で満塁とされ、
前川右京にカットボールを左前に運ばれ2点を失ったが、2回には味方打線が5点を奪い逆転。森下はその後も要所を締める投球を続け、今季初の完投でチームの首位を堅持。チームは7年ぶりのリーグ10勝目一番乗り、個人としても甲子園で3年ぶりの白星、そして通算50勝の節目の勝利となった。
116試合での通算50勝到達は、OB
前田健太(現タイガース)の122試合を上回る球団2番目の早さだ。「ここからまた積み重ねられたら」。森下は謙虚に受け止め、「またいい準備をして、チームが勝てるように、同じことを繰り返さないように頑張りたい」と誓った。
翌4月19日の同カード(甲子園)では、開幕2戦目で黒星を喫した床田寛樹が先発。前回登板の同12日の巨人戦(マツダ広島)で完封勝利を収めた左腕は安定した投球を見せ、6回二死満塁の窮地も落ち着いて切り抜け、7回無失点。連続無失点イニングを22回と伸ばした。
打線は2回に一番・
矢野雅哉の適時内野安打、二番・
羽月隆太郎の2点適時打で3点を挙げ、3対0で勝利。矢野は4回先頭の
森下翔太の三遊間への安打性の打球を横っ飛びでつかみ、一塁へノーバウンド送球と、好守でも床田を盛り立てた。
森下に続き、床田もこの日の勝利が通算50勝目。「僕が遅すぎるぐらいじゃないですか? (森下は)やっぱりすごい」と後輩をたたえた。
新井貴浩監督は「ケガもあっていろいろあったけど、本当に素晴らしい投手に成長してくれている。頼りになるね」と床田をねぎらった。
同20日のカード3戦目は1対8で敗れたものの、2勝1敗と勝ち越したことで首位はキープ。セ・リーグは今季もすでに、混戦の様相を呈している。終盤の失速を経験した昨季の雪辱へ、気の抜けない戦いが続く。