達成できそうでできない数字でもある。「100セーブ&100ホールド」。どちらかに特化すれば、200は行くかもしれないが……。これまでも7人の投手しか達成できていなかった。しかし、阪神の岩崎優がこれをクリア。しかも左腕投手では初の快挙となった。 写真=宮原和也
※成績は5月18日現在 
独特のステップ幅の大きなピッチングで、キレのあるボールを投げ込み、左腕リリーフでは初の100セーブ&100ホールドを達成した
ポーン! とグラブをたたく。いつもの光景がそこにあった。常に冷静な表情を崩さない岩崎優だが、この日は「してやった」の表情を少しだけ見せた。前日16日の
広島戦(甲子園)の9回表、2対2から勝ち越し打を打たれ敗戦していた。そのリベンジを果たしたことと、球団では史上3人目の100セーブ、NPB史上8人目の100セーブ&100ホールドを達成した喜びの2つの感情が入っていた。「そうです。早く投げたかった。逆に燃えたといいますか。そういう気持ちでした」と語ると続けて「ここに至るまで失敗してしまうことも多々あって。その都度、勝ちを消してしまった投手や、打ってくれた野手、応援してくれた方々、スタッフ、いろいろな人に対して申し訳ないという気持ちにはなるんですけど。ある意味、そういうのも力に変えて」と苦しみながらも5月17日の同戦で偉業を達成した。

100S&100H達成のボードを掲げて照れくさそうな表情を見せる岩崎。次は150S&150Hを狙う
入団3年目までは先発。そこから中継ぎに転向。右も左も分からないときに目の前にいたのが
藤川球児監督だった。243セーブ&163ホールドという偉大な記録を残した先輩の所作を見ながら、盗み、ときにアドバイスを受けその座を確立していった。そして2023年には35セーブでセーブ王に輝き、リーグ優勝&日本一にまで導いた。
師匠でもある藤川監督からは「おめでとう」のひと言だったが「それだけでもめっちゃくちゃうれしかった」とほほ笑んだ。
今年、2年ぶりの優勝を果たすためには欠かせない存在。「自分が後ろ向きになったり、ちょっと弱気になったりしたらみんながその姿を見ているし、自分は常にみんなを引っ張っていくことを忘れずに、前向きに戦っていかないといけない」とチームを勝利に導くために、淡々と腕を振っていくのみだ。
PROFILE いわざき・すぐる●1991年6月9日生まれ。185cm92kg。静岡県出身。清水東高-国士舘大-阪神14[6]=12年。