セ・リーグの優勝争いが一人旅になりつつある。阪神が交流戦後に11連勝を飾り、勝率も6割を超え首位を独走し始めた。何がここまで好調なのか――。投打もかみ合い、チームメート同士の関係性も良好。そりゃあ、勝ちますよ、という流れになっている。 写真=BBM 
ベンチにいる猛虎ナインが1球1球に集中し、一喜一憂するなど、試合への集中力は高いものがある
投打とも個々が役割を果たす
交流戦では7連敗を喫し、開幕から首位を走ってきた阪神の勢いに陰りが見え始めたかと思われたが……。リーグ戦に戻った途端に快進撃が始まった。6月28日の
ヤクルト戦(神宮)から7月10日の
広島戦(マツダ広島)まで11連勝を飾り、一時期、セ・リーグの中で阪神のみが貯金を持つという異常な状況になった。7月12日のヤクルト戦(甲子園)では逆転で5対2で勝利し、両リーグ最速の50勝に到達。7月13日現在(以下同)勝率.614、貯金19と独走の状況が見えてきた。
「やれることを、自分たちおのおのができることはやっていたと思いますね。十分だと思いますね」と11連勝がストップした11日の試合後に
藤川球児監督はこう語り、選手たちをねぎらったが、選手それぞれが自分の仕事をやり切ったからこその連勝であった。
もともと藤川監督は「中継ぎが阪神の心臓部」と言っていたものの、この期間、先発が踏ん張ったことで、中継ぎが楽なローテーションで投げられる余裕ができた。11連勝の内、10試合で2失点以下。さらに9試合で責任投手が先発という安定感を見せた。

11連勝中2度の完封劇など、安定感抜群の新助っ人・デュプランティエ
また同時期はデュプランティエが2度、
伊藤将司が1度の完封勝利を記録。6試合で7回以上2自責点以内のハイクオリティー・スタートという安定感が際立っていた。これに中継ぎのネルソン、
湯浅京己、
石井大智、
及川雅貴、
桐敷拓馬、抑えの
岩崎優を勝ちパターンのローテーションを組んで盤石の状態でマウンドに上がることができていたのだ。

開幕直後は不調で二軍落ちしていたが、再調整で以前のような安定感抜群の投球を見せている伊藤将
打線もそれぞれの役割を果たすことで「猛虎打線」になった。一番・
近本光司と二番・
中野拓夢の出塁率が高くチャンスメーク。現在、近本は.363、中野が.374で、相手バッテリーからしたら、どちらかが必ず出塁している感覚にとらわれているはずだ。

チャンスに強いクラッチヒッターの三番・森下。チームを勢いに乗せる一打が今年は特に多い
そこに加えて強力なクリーンアップが控えている。三番・
森下翔太が59打点、四番・
佐藤輝明が62打点で、リーグの打点王を争うほどの活躍ぶりだ。ここに五番の
大山悠輔が復調してきた。6月28日から始まった11連勝では、9試合で安打を放っており、さらに38四球はリーグトップで粘り強さを発揮。一番から五番まで全員が好調を維持していることで、得点の確率が高くなるのは必然だ。加えて六番以降、藤川監督が起用する日替り選手が活躍するという好循環があった。

7月13日現在24本塁打で本塁打王独走の佐藤輝。一発を放つとチームは勢い付くだけに相手チームにとっては怖い存在だ
それだけではない。7月12日の4回裏の攻撃でスタメン起用された
豊田寛が、一死二、三塁から強打し遊ゴロ。三塁走者の大山が挟まれアウトになった後に、豊田が二塁でタッチアウト。この直後に藤川監督は懲罰交代の姿勢を取った。試合後、この場面で「僕が挟まれて、もうひと粘りできなかった。それによって寛がアウトになってしまった。それは僕の責任でもあるので、申し訳ない」と大山が後輩をかばった。これこそが、チームの雰囲気を象徴し、ナインの関係性を物語っていると言えよう。自分のやるべきことをやり、チームメートを信頼できるからこそ、この快進撃が続いているのだ。

「前の森下、テルが楽に打てるように」。そういう存在としての五番を目指していたが、その言葉どおりの粘り強い打撃を見せている大山