一時代を築いたスラッガーがバットを置くことを決めた。中日の中田翔が8月15日、本拠地バンテリンで記者会見し、今シーズン限りでの現役引退を表明した。 
会見では緊張しつつも、穏やかな表情を見せた。「もう一度、野球を大好きになってユニフォームを脱ぎたい」とも
濃紺のスーツにブルーのネクタイ。やや緊張した面持ちで記者会見場に姿を現した中田翔が、ゆっくりと口を開いた。
「(引退を決断した時期は)2カ月ぐらい前ですかね……満足のいくスイングができない、思いどおりに体が動かないというのを感じて、これ以上チームに迷惑を掛けられないなと思い、そういう決断を下しました」
プロ18年目の今季は六番・一塁で開幕スタメンに名を連ねた。腰痛からの打撃不振もあって登録抹消となったのは5月中旬。二軍での調整を経て8月7日に一軍復帰を果たしたものの、代打で3打席凡退するとわずか5日で再び登録抹消となり、それから3日後の引退会見となった。

8月10日の広島戦[バンテリン]は代打で投飛。すでに引退は決めていた
前日14日の深夜に自身のインスタグラムで、
日本ハムのユニフォーム姿で札幌ドームのグラウンドに立っている写真を投稿していた。シーズン途中の引退発表については「(チームの)邪魔はしたくないという思いもありましたし、でもファンの皆さんにも早く自分の口から報告をしたかったという思いもありました」と口にした。
広島県出身。大阪桐蔭高では3度甲子園に出場して高校通算87本塁打。投打で活躍して“平成の怪物”と呼ばれた。2008年に高校生ドラフト1巡目で日本ハム入団。勝負強い主砲として12、16年と2度の優勝、16年は日本一に貢献。3度の打点王に輝き、13、17年にはWBCにも選出された。21年途中、後輩への暴力行為で出場停止処分を受け、無償トレードで
巨人へ。巨人では第91代となる四番を務め、通算300本塁打も放った。23年オフに出場機会を求めて中日へと移籍した。
会見では目を潤ませる場面もあり、一つひとつの質問に丁寧に答えた。「僕にとって野球は宝物。すごく幸せだったと思います」。豪快な性格でやんちゃな面はあったが、面倒見も良く多くの仲間たちやファンに親しまれてきた。“大将”と呼ばれた希代のスラッガー。今後については、まだ未定だという。
PROFILE なかた・しょう●1989年4月22日生まれ。広島県出身。184cm107kg。右投右打。大阪桐蔭高では1年夏、2年夏、3年春の甲子園に出場。高校通算87本塁打を記録。2008年高校生ドラフト1巡目で日本ハム入団。これまで3度の打点王に輝き、ベストナイン5度、ゴールデン・グラブ賞5度。13、17年WBC代表。21年8月に日本ハムから無償トレードで巨人に移籍。23年11月に巨人との複数年契約を破棄して退団し、中日入団。通算1783試合出場、打率.248、309本塁打、1087打点(8月17日時点)。