それぞれに「ジャイアンツの顔」としてプレーし、スターとしての道を歩んできた松井秀喜と高橋由伸。いずれも長嶋茂雄監督の下で、プロの道へと足を踏み入れた。唯一無二の「監督」から受け継いだプロ野球選手としてのあるべき姿とは──。 文=鷲田康[スポーツジャーナリスト] 写真=BBM ファンあってのプロ野球
松井秀喜と高橋由伸。
同じ右投げ左打ちの外野手であり、
巨人のスター選手として活躍した2人には共通点も多いが、全く違う顔もある。
松井は不器用ではあったが、ファンを魅了したのはその豪快なスイング。フルスイングで遠くへ飛ばす能力に長けたホームランバッターだった。一方の高橋は本塁打も打てたが、最もファンを魅了したのは美しいフォームから広角に放たれた打球で、まさに天才肌の打撃技術がファンを虜にした。
また松井は巨人で3度のMVPに輝くと、活躍の場を世界に求めてMLB挑戦を果たした。メジャー・リーグの名門、ニューヨーク・ヤンキースでも四番を任され日米通算507本塁打をマークして、ワールド・シリーズMVPの栄冠も手にしている。一方の高橋は現役生活を巨人一筋で貫き321本塁打を記録している。そして2015年オフにユニフォームを脱ぐと同時に、監督に就任。3年間の監督生活で優勝は果たせなかったものの、指導者としても巨人に貢献してきた野球人生である。
そんなふうに巨人で異なる顔を見せて活躍してきた2人には、しかしある一つの共通点がある。
それは2人とも長嶋茂雄監督の下でプロ野球選手としてのスタートを切ったということ。長嶋監督によって巨人とは、プロ野球とは、プロ野球選手とは、という大きな道を切り開いてもらったということだった。
「僕が最初に長嶋監督に教わったことは、巨人というチームは勝たなければならないということ。そしてプロ野球とは見せてナンボ、見られてナンボだということでした」
こう振り返るのは1998年に逆指名によるドラフト1位で巨人に入団した高橋だった。
その意味を年齢が一つ上で、星稜高校から93年にドラフト1位で巨人へ入団した“先輩”の松井はこう説明する。
「長嶋監督が何を気にしていたかというと、いつもファンなんですよ。選手よりファン、ファンにどう喜んでもらうか、そのためにどういうチームをつくって、どうやって勝つか。どういうタレントを集めるか。長嶋監督はほかの監督とは全然違う、プロデューサーなんです」
もちろん勝利に対する執念は人一倍強かったし・・・
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